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子育て相談 Vol.95

今月のお悩み

“友人関係”

だれかを仲間はずれにしていたら、親として注意するべき?
 小学4年の女の子。これまで4人組みで仲良く遊んでいたのに、最近、そのうちの3人でだけ交換日記をはじめました。娘は3人目として誘ってもらえて、うれしくはあるけれど一人誘われていない子がいることが気にもなっているといった様子。親としては、この状況を放っておいたほうがいいのか、だれかを仲間はずれにすることが褒められたものでないと釘をさしておくべきかと気になっています。アドバイスお願いします。

先生の回答

人間関係は難しいもの。丁寧に話を聞いてあげて

 小学4年生、思春期の入り口ですね。これから子ども同士の関係もより複雑になっていきますし、親子関係の質も変わっていきます。子どもが小さいうちであれば「それはだめだよ」と諭していたようなことであっても、この年代になると、口を出していいのかどうか悩ましいところです。

「ダメ」とわかっていることを「ダメ」と注意されるとつらい

 親御さんはきっと、お子さんから交換日記の話を聞いたのでしょう。その時の様子から、「うれしくはあるけれど一人誘われていない子がいることが気にもなっている」というふうに判断しました。恐らくその通りで、お子さんは、仲間はずれが良くないことだということをよく理解しているのです。仲間に招かれたうれしさと、友だちを仲間はずれにしつつある罪悪感について、ごく素直に話してくれたのでしょう。お子さんは親のことを信頼しているようです。どうしたら、この信頼にこたえることができるでしょうか。
 釘をさすというのは、あまりお勧めできません。ダメだとわかっていることについて、親に「ダメだよ」と釘をさされるのは、正しいことかもしれませんが、つらいことです。子どもは罪悪感をより強く感じるでしょうし、場合によっては、「本当は仲間はずれが良くないことだとわかっているのに、それを理解してもらえなかった」という気持ちにつながるかもしれません。

親子で問題点を共有できるまで聞く

 一方で、状況を放っておくというのも、場合によっては難しい結果につながるかもしれません。これが火種になってトラブルに発展した場合、「おかしいと思って相談したのに、流された」「親に相談しても無駄」ということになってしまいます。
 このようなときは、とにかく丁寧に話を聞くこと、そして「あなたの話を聞いています」「一緒に考えましょう」というメッセージをしっかり伝え、悩んでいる子どもを励ますことをお勧めします。
 丁寧に話を聞くときには、親の意見を述べたり、考えを伝えたりせず、まず子どもが言いたいことを全部言い終えるまで待ちましょう。話がわかりにくければ、「いつ?」「誰が?」「どうして?」など質問しながら、整理して聞いていきます。
 子どもが話したいことを一通り話し終えたようだったら、親が聞いた話のテーマを短くまとめて伝えます。今回であれば、「交換日記に誘ってもらえてうれしいけれど、誘われていない○○ちゃんのことが気になっているのね」となるでしょう。そうすると子どもは「うん」だったり、「うーん、そうじゃなくてね、」だったり、何らかの返事をします。子どもが何を一番気にしているのかという点について、親子で共有できるところまで、話を詰めてみましょう。
 もし「交換日記に誘ってもらえてうれしいけれど、誘われていない○○ちゃんのことが気になっているのね」に対して「うん」という答えがきて、話の要点が共有できたという感触があったら、それで十分です。もしかしたら子どもは「どうしたらいい?」と聞いてくるかもしれません。聞かれたら、「仲間はずれは良くないと思う」という親の意見を述べて構いません。ですが、特に意見を求められていないようであれば、もう、ここまでで十分です。子どもには、親がよく話を聞いてくれているということ、一緒に考えてくれたということが伝わっています。
 あるいは、どうしても親の側が意見を言いたいというときは、「お母さんだったら、仲間はずれは良くないなって思うから、もう二人のお友だちに○○ちゃんも誘おうって言ってみると思うけれど、そういうやり方はどう?」と、子どもの意見を聞いてしまうという手もあります。そうすると「そうだね、それがいいかも」となるかもしれませんし、「うーん、それが言えたらいいんだけれど、○○ちゃんは××するから、△△ちゃんは嫌がると思うんだ」というような、一層深いところの考えが聞けるかもしれません。そうしたら、それをよく聞いて、「そうか、仲間はずれは良くないなって思うけれど、△△ちゃんの気持ちを考えると、無理にみんなでっていうのは言いづらいんだね」などとまとめて共有していけばよいでしょう。

 人間関係は難しいものです。いつでも正しいやり方があるとは限りません。優しさや正しさが対立してしまうことは、子どもの世界にもよくあります。抱えきれないような難しい場面に出会ったとき、「家に帰れば聞いてくれる親がいる」という事実は、子どもの心を支えます。子どもが答えの出ない問題に直面しているときは、教え導くのではなくただ聞くことで親の愛情を伝えることができます。

Vol.95 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年12月号掲載

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