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子育て相談 Vol.96
“金銭感覚”
- お年玉の管理、いつ、どんなふうに任せれば……。
- 小学1年の息子。お正月で夫の田舎に帰省すると、お年玉として結構な金額をいただきます。今は私が預かり、自転車など大きな買い物の際に使わせてもらっていますが、金銭感覚を養うためにもある年齢になったら管理を任せるべきなのかなぁと思っています。
適当な時期、正しい任せ方などアドバイスお願いします(月々のお小遣いはまだなく、必要な時にお金を渡しています)。
先生の回答
お小遣いの管理は、将来、とても役に立つ体験。
環境、能力、特性に応じて判断しましょう
お小遣いを管理することは、ご質問の通り、金銭感覚を養ううえでとても役に立つ体験です。ぜひ経験させてあげたいですね。ですが、お金をいつ・どのくらい渡すのかというのはなかなか難しい問題で、子どもの置かれている環境や、子どもの能力・特性によっても変わってきます。具体的にいつ・どのくらいという正解はありませんが、考えるポイントについて整理してみましょう。
「お金と買い物の仕組み」を理解できているか
まずは、渡す時期についてです。子どもがお小遣いを自分で管理できるようになるまでには、いくつかのハードルがあります。第一歩として、お金と買い物の仕組みについて理解している必要があります。小さいころから親の買い物についていって、お金で商品を買うというのがどういうことか、体験的に理解できていると良いでしょう。商品の値段は店や時期によって違うということも理解できていれば頼もしいです。小学校では3・4年生の社会科で、地域の消費活動について学ぶ単元があります。このころになれば、買い物をするための基礎ができていると考えてよいでしょう。
一人で買い物をできるか
もう一つの目安として、一人で買い物をできるかどうかという観点もあります。お小遣いを管理するうえで必須というわけではありませんが、親が「スーパーで長ネギを買ってきてください」とお金を預けて、一人で安全・確実に買い物ができる気質と環境が揃っているならば、もっと早い段階でお小遣いを持たせて、試行錯誤しながら覚えていく方法を取っても構いません。逆に、一人で買い物をするのを不安がっていたり、あまり物を欲しがらないタイプの子であったりするならば、時期だからといって急いでお小遣いを持たせる必要はありません。
欲しい物を自分で選べるか
お小遣いを使うために必要な能力として、「欲しい物を自分で選べる」があります。たとえば、スーパーマーケットで今日のおやつを選ぶのが、この練習になるでしょう。慣れてきたら「100円以内で、あなたの今日のおやつを選んできてください。30円や50円の物を組み合わせても良いです」というような体験があっても良いです。ただ、現在は商品の価格が税込み表示になっているので、子どもが暗算で計算をしながらお菓子を買うという体験は、かなり難易度が上がっています。あまり難しいと、買い物と算数が嫌いになってしまうので、親がサポートしながらゆっくり進めましょう。
お祭り、土産物屋などで短時間だけ任せる
子どもが買い物に慣れて、欲しい物を見つけられるようになってきたら、短時間で使い切るお小遣いの管理を任せてみましょう。お祭りや、旅先の土産物屋のような「あれもこれも欲しいけれど、どれか選ばなくてはいけない」という場面が適しています。よく考えて選ぶよう促して、「どっちがいいの?」「これを買うと、あっちは買えないけど、それでいいの?」などと話し合いながら、最終的に納得できる物を探しましょう。自分で選んで買ったという体験ができるよう、あまり強く誘導しないように気をつけてください。もし、家のルールとして買ってはいけないような物があるなら、先に伝えておくようにしましょう。
決まりを作ったうえで任せる
子どもが十分に検討できるようになってきたら、いよいよ、お小遣いを任せてみましょう。具体的な金額としてよく聞くのは、月に小学生の学年×100円というものですが、周りの友だちの様子や、子どもが実際に買う物・頻度などを考慮して決めましょう。
お小遣いの金額、渡すタイミング、お小遣いで買う物の範囲について話し合い、決まりを作っておきます。たとえば、学校で使う文房具はその都度親が買うので、お小遣いを使わなくて良い。でも、キャラクターものの下敷きが新しく欲しいのであれば、それはお小遣いで買う、など。「お小遣い」のイメージを共有できたら、決めた金額については子どもに任せて、親は口出しせずに見守ります。最初は無駄遣いをして失敗すると思いますが、それも経験です。いずれうまく買い物ができるようにと準備していることですから、親はおおらかに構えて待ちましょう。この失敗を見込んで、子どもに任せて問題にならないような金額にすることも大切です。
お小遣いを渡し始めてからも、子どもがお小遣いで買えないような物について、欲しいと言ってくることはあるでしょう。なぜそれが欲しいのか、どんなところが良いのか、どのように使うのか、説明して親を説得するように求めましょう。親が納得すれば買い与えても良いですし、折り合いがつかない場合には、クリスマスや誕生日のプレゼントにするという選択肢もあります。子どもが欲しい物とうまく付き合っていけるよう、いろいろな経験を積めると良いですね。
Vol.96 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年1月号掲載