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Vol.81 読解力はどんなスキルよりもあなたの評価を高めてくれます。
求められる相手の意思を読み取る力
インターネットやSNSの普及もあって、昔より明らかにコミュニケーションにかかるストレスは大きくなっています。誰もが、言葉による摩擦にスッキリしないものを感じている。大切なことを伝えたいときは、「あ・うん」の呼吸や、気持ちを察するということだけでは済まなくて、自分の意思をきちんと言葉にし、相手の意思を読み取ろうとすることが不可欠です。的確にわかりやすく説明する、説明を聞いて正確に理解することができなければ、とくにビジネスの現場でのコミュニケーションは成立しません。
何かトラブルが起きたとき、その状況を適切に言語化して伝えられれば、問題がフッとほどけることが、多くの場面であります。これは、性格や相性の問題ではなく、その人に「生きた国語」の基礎力があるかないかの問題なのです。そこで、あらためて「基礎を鍛える」というところからはじめてほしいと思うのです。その要となるのが「読解力」です。職場で、学校で、家庭で遭遇するトラブルの多くは、意味の取り違えや行き違いによるもので、それを回避するために必要なのが読解力なのです。
仕事ができる人の定義
読解力と聞くと、学生時代の国語の読解力テストを連想するかもしれません。しかしここでは、同僚、友人、家族との会話、さらにはEメールの文章や、その場の雰囲気、いわゆる「空気を読む」ということも含みます。
読み解く力を鍛えていけば、散乱する大量の情報のなかから重要なものを選び出し、秩序立てて再構成する「要約力」や、その内容を筋道を立てて論理的に伝える「伝達力」、それらをベースにして周囲の人たちと意見を交わす「コミュニケーション力」がつきます。これらが、仕事をするうえで重要な力であることは間違いありません。それに加えて、物事を多面的にとらえることができるようにもなります。それによって、たとえ価値観や考え方が違っていたとしても、相手の言わんとしていることの本質を理解することができる。理解ができることで、寛容にもなれる。つまり、人の気持ちに寄り添う「共感力」が身につくのです。これは、私たちが社会のなかで生きていくために欠かせないものです。
現代を生き抜く力として、読解力は非常に大きな比重を占めています。言葉の正確な理解に基づいた対話力のある人が、仕事も人間関係もうまくいくようになっているのです。
仕事でもプライベートでも、私たちは1日に何十通、人によっては100通を超えるEメールやメッセージアプリ、チャット等の文章を目にしています。スタンプや絵文字で感情表現できる場合もありますが、多くは文字が並んでいるだけです。
相手の顔は見えない、筆跡もわからない、ただ画面上に並んでいる文字を読む側は、そこから情報だけを受け取るのではなく、文字に込められた書き手の気持ちを読み解き、的確な言葉で返信することが求められます。
たとえば、仕事の提案をEメールで投げかけたとき、相手の返事が「いいかもしれませんね」だったとします。このとき、相手は承諾しているのでしょうか。
メールに書かれた文章をそのまま受け取るだけでなく、相手の感情を読み取らなくてはいけません。
文面を読み解き、どうやら相手はまだ満足していないのかもしれない、と判断したなら、「ありがとうございます。あるいは、このようなかたちでもできますが」と、別の提案につなげることもできるでしょう。このように言葉をそのまま受け取るだけでなく、自分のなかでイメージし、それに対応しなければなりません。
私は、コメンテーターとしてテレビ番組にも出演していますが、コメンテーターに最も必要な力とは、人を傷つけないコメントをし続ける能力であるといえます。これはまさに読み解く力です。
物事の善悪を判断する力ももちろん大切ですが、こちらの見解が正しいかもしれない一方で、ほかにもどういう気持ちでいる人がいるのか、といったことまで広く考えたうえで、発言していかなければなりません。
近年は、「仕事ができる人」の定義も変わってきています。かつては、指示された業務を効率よく処理できる人を指しました。しかし近年、単純作業はITが代替することも多くなり、最近では面白い企画を出し、チームでプロジェクトを進められる、といったことが評価につながっています。そこで必要になるのも読み解く力です。
人間としてのバリュー=「読み解く力」
日々の仕事で、一人が処理しなくてはならない情報は膨大です。いまの社会において、情報を正しく読み、素早く要旨をつかみ取れないとなると、あらゆる仕事で支障をきたしてしまいます。
読解力が低い人と仕事で組むことになったら、こちらは重要なことを伝えたつもりでも、相手が的外れな受け取り方をしている可能性があります。それは、大きなミスにつながることもあります。
読解力の低い人は言外の意味が理解できないため、一から十まで説明しなくてはなりません。「あとは任せた」には、とてもできない。これはビジネスを進めるうえで大きなマイナスですし、こちらの精神的な負担にもなります。
そういうことを言っているんじゃないんだけど……という意味の取り違えによってトラブルが起きます。仕事上のトラブルの多くは、意味の取り違えや行き違い、つまり読解力不足からきていることに思い当たる人は多いのではないでしょうか。
すでに世界は本格的なAI(人工知能)時代に突入し、多くの仕事はITに代替されつつあります。しかしAIはキーワードから正解を探すことは得意でも、文章の意味を理解し、記述式の問題に回答することは難しいといわれます。
つまり、この先も進化を続けるAIに追い越されることなく、人間としてのバリューをもち続けるためには、まず読解力を鍛えることがカギとなるのです。
vol.81 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2026年4月号掲載

