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Vol.10 「公立の限界」「私立の限界」を考える

 

 前回紹介した県立高校(試験点数では合格だった生徒を身なりで不合格にした)ですが、更迭された校長の復帰を求める声が地域住民の方々から上がっているという報道を目にします。複数の新聞で特集として取り上げられ、「あなたはどうお考えですか」と広く読者の声を募る動きが出ていることからも、世間的な関心の高さを窺い知ることができます。
 今回は少し視点を変えて、この問題を題材にしながら、お子さんが将来進学する学校を決める際に重要なファクターとなる「公立と私立、それぞれの限界」に視野を広げて考えてみようと思います。


校長先生を復帰させるには

 前回の問題について拾うことができる「世間の声」の大多数は、「入試は社会に出る第一歩だ。よって身なりがだらしないのであれば不合格でも当然→だから校長先生は悪くない」というものでした。
 校長先生の仕事が「学校の管理」であり、学校の将来を描き実現していくプロデューサーとしての役割を担うものである以上、「この学校をよくしたい、よくするためには何が問題か」という課題に対して、世間の大多数の声と同様の発想で「入学者の質を上げたい、まじめな子をとりたい」と考えることは当然だと私も思います(教育論としての是非は考えません)。教育委員会もこれを否定はしていません。つまり今回の処分は、
 「方針」は正しい しかし 「手段」が間違っていた
ことに対して行われたものと考えるべきです。ところが地域住民の皆さんや報道を含めて、世間の関心が「方針は正しいのに……」という部分に集中してしまっているため、校長先生の復帰を求めている地域住民の皆さんの動きは、結果として「手段も間違っていない」ということを教育委員会に認めさせようとしていることに等しくなってしまうのです。これでは、残念ですが教育委員会側が歩み寄る余地はありません。では、どのような動きが最も有効なのでしょうか。


公立学校にある教師の異動

 公立の学校には「先生の異動」が必ずあることは皆さんもご存知でしょう。どんなに部活動の指導で実績を残した先生であっても、どんなに地域で信頼されている校長先生であっても、基本的に公立である以上いつかは異動でその学校を離れます。部活動の顧問が変わったとたんに強くなる部や弱くなる部があるのと同じように、校長先生にも異動があるということは、前述した校長先生の仕事内容を考えれば「校長先生が替われば学校の方針も替わっていく」ことは避けられないと考えておくべきです。
 ですから、もしもこの県立高校において地域住民の方々がこの校長先生を呼び戻すことに成功したとしても、この校長先生が永遠にこの学校(合併後の新校含む)に勤め続けることはあり得ないことです。
 それを考えれば、地域住民の方々の最も有効な動き方は、次の校長先生に対して「前校長の方針を継続してもらう」ことだと思うのです。私も「前校長の方針(目的)は正しい」と思っています。だからこそ、この方針を引き継いでもらうことを第一義として活動するべきだと思うのです。


学校選びのポイント

 〈公立のメリット・デメリット〉
 このように今回の問題を少しだけ視点を変えて考えると、将来お子さんが進学する学校を選ぶ際のポイント、あるいは注意点を浮き上がらせることができます。
 私が知る公立中高一貫校には、開校3年目にありながら「3代目の校長先生」がいらっしゃるところがあります。簡単にいえば毎年交替されているということです。初代の校長先生は「バリバリ勉強させます」というスタンスでしたが、わずか3年目にしてその雰囲気は全く違うものになっているという声も聞きます。今、首都圏を中心として公立中高一貫校が注目を浴びていますが、こうした注目校にせよ地域の公立小中学校、公立高校にせよ、前述のような「例え現在の学校運営が魅力的であっても、入学時に約束したことであっても、将来にわたって現在の方針が堅持されるとは限らない」ことを、学校選びの際には「公立の限界」として頭の片隅に入れておく必要があります。逆にいえば、現在は荒れている学校であっても校長が変われば学校が変わる可能性を秘めているということです。

 〈私立のメリット・デメリット〉
 公立の中にも、築き上げた方針を「伝統」として守り続けている学校がありますが、こうした方針を、「変わらないもの・変えてはいけないもの」として最大のアピールポイントにしているのが私立です。教育方針・教育理念・校風など、事前にキチンと説明をして、理解していただいた上で入学してもらい、そして卒業するまで約束を果たす。これが私立の学校です。
 ただし、多くの私立では先生方の異動はもちろん、校長先生の交替もあまりありませんから、現状にあぐらをかいていたり、危機感が欠けているような学校の場合だと、時代の変化への対応が遅れてしまうこともあります。受験生とその保護者は敏感ですから、常に時代の先を読んでいかないとたちまち受験者が激減してしまう可能性を含んでいるのです。「手段」の失敗はもちろん、「方針」の失敗があってもたちまち経営に直結してしまう、これが「私立の限界」です。
 ですから私立の学校選びのポイントとして、大学合格実績の数字だけを追うのではなく、この「方針」を自己責任でしっかり見極めることが重要になるのです。


公立 or 私立?

 公立と私立の関係を「水」に例えた人がいます。蛇口をひねれば出てくる水道水で充分という人もいれば、わざわざお金を出してミネラルウォーターを買う人もいる。違いがあるのかないのか、効果があるのかないのか、すぐに判断することはできません。だからこそ、皆さんには「はっきりしているそれぞれの限界」を理解した上で後悔しない学校選びをしていただきたいと思います。

vol.10 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2009年 1月号掲載

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