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Vol.119 中学入試で増え続ける「英語入試」

 2018年度の首都圏中学入試では、「英語入試」を実施する私立中学が3ケタの大台に到達しました。これは首都圏私立中学の3分の1を超えており、わずか4年で実施校は7倍に増えました。今回は今後ますます増えることが予想される「英語入試」の背景と中身を紹介していきます。

増え続ける「英語入試」の背景

 2018年度の中学入試において、帰国生ではない受験生になんらかの形で英語での受験を認める私立中学は、2017年度の95校から112校に増えました。表からも読み取れるように、「英語入試」の広がりが加速度的に進んでいることがわかります。

首都圏英語入試実施 
私立・国立中学校数

2014年度 15校
2015年度 33校
2016年度 64校
2017年度 95校
2018年度 112校

注:日本学生支援機構の奨学生約134万人は調査対象外

 入試スタイルも様々で、国算英の3教科でも受験できる入試形態を増やした学校が多いなか、国語の代わりに英語の選択が可能な学校、英語1教科のみの試験を行う学校まで登場しており、我々塾講師でもこの急激な変化を把握するのに苦労するほどです。
 どうしてここにきて「英語入試」を実施する学校が増えてきたのでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが、まず考えられるのが「大学入試改革」です。新高1が大学受験をするときから始まる、現在の大学入試センター試験に代わる新テストでは、「英語の4技能(聞く、読む、話す、書く)」を総合的に評価するために英検やTOEICなどの民間資格・検定が導入されます。また、次に考えられるのは、小学校における「英語の教科化」に向けた準備です。2020年から小学5・6年で「英語(正式には外国語科)」という教科が始まります。この年からいよいよ小学校が「国算理社英」の5教科になるわけです。先行実施として、新小3・新小4では年間55コマ用意されている総合学習のうち15コマを英語に振り替えることが認められていますので、この春からいよいよ小3・小4で英語の授業が始まることになります。
 あと数年後にはすべての小学生が英語を学んで中学に進学することがわかっているのですから、私立中学は今から「英語入試」を始めて形式や問題レベルを試行錯誤しながら見定め、来る2020年に向けて準備を進めておかなければなりません。すでに英語を学んでいる小学生に目を向け、「さらに英語の力を伸ばしたい」と考えるご家庭の方針や要望を汲み取ることが、入試はもちろんのこと入学後の授業レベルまで含めた「生き残りを賭けた学校大改革」につながっているのです。
 事実、昨年・今年で新設された「英語入試」には、筆記試験のウエイトを減らし(実施しないところもあります!)、面接やグループワークで「英会話」を課して、受験生のリスニングやスピーキングの能力を測ろうとする動きも見られます。おそらく「中学英語の授業は英語オンリー」「高校英語では英語によるスピーチや議論も当たり前」という程度の授業レベルに改革したい学校の戦略だと思われますが、小6にどこまでの英語力を課すことができるのかを見極めている過程なのでしょう。


「英語入試」の中身を見てみると

 現在のところ「英語入試」には二つの大きな特徴があります。一つ目は受験生確保のための「特待・優遇制度」として利用されるケースです。例えば「英検3級以上」などの規定を設けて、それをクリアしている児童に対しては各種減免制度を適用したり、あるいは当日の試験で得点を加算したりするケースも見受けられます。こうした制度があれば、中学受験塾ではなくて英会話スクールに通い続けていた児童、英検などの検定に合格はしているものの本格的な受験勉強はしてこなかった児童であっても、私立中学を進学先の選択肢に加えられるので学校側にもメリットがあります。児童や保護者にとっても「算数は嫌いだけど、英語は好きだからもっと力をつけたい」といった場合に受け皿が増えるのはいいことですから、入学者減少に悩む学校を中心に今後ますますこうした制度が注目されていくことでしょう。
 二つ目は、ますます加速するグローバル化に適応できる人材育成を目指して、最初から「高いハードル」を課すケースです。
 十文字中学の「得意型特待入試(1教科入試)」は英語と算数の選択で、英語は英検準2級レベルを想定しているとのことです。この試験で合格した生徒には、英語授業では「通常クラスとは別に、ネイティブの教員が中心となって指導するハイレベルな少人数クラス」に属して英語力のさらなる向上を目指す環境が用意されているそうです。
 日本大学の付属である日本大学中学校では、英語教育を重視し将来のリーダー育成を目指す「グローバルリーダーズコース」を設置し、最も募集人員の多い2月1日の入試で「国語または英語」の選択を可能にしています。英検4級~3級と記載がありますが、公表されているサンプル問題の出題趣旨には「基礎的な文法力に習熟し、それを読解にいかすことで高度な英文を読みこなしていく能力の素養・学習履歴を見る」とあり、採点基準には「不定詞副詞用法」「関係代名詞」という言葉が並んでいて「高校入試の問題と見間違えたかな」と思わず見直してしまうほどでした。この2校の出題例を紹介しますので、どうぞ参考にしてください。


H 29 日本大学中学校中学入試A1 英語サンプル問題
次の文章は、Boxing Day というイギリスの祝日についての文である。下線部を日本語にしなさい。
Many people go shopping on Boxing Day. Many stores open earlier than usual and have a big sale on this day. Things are very cheap. Some customers go to stores very early in the morning to buy things that they want.

(答: 欲しいものを買うために、朝早くお店に行くお客さんもいます。)


H 30 十文字中学 得意型特待入試 英語公表問題
4 Solve the math problems.
1. An 800 yen article at a 40% discount costs ____ yen.
2. You are going to distribute some apples equally to some children. If each child gets 3 apples, there are 5 left over. If each of them gets 4 apples, there are 10 short. How many children are there?
3. The circular graph below shows the total amount of land used for growing different fruits in an orchard. If the whole area of the orchard is 7200㎡, how many square meters of land areas are used for strawberries and grapes?



(答:1. 480円 2. 15人 3. イチゴ 3240㎡ ブドウ 1800㎡)

 幼児~小学生のお子さまをお持ちのご家庭における英語教育への関心が高まっていると、あちこちで耳にします。我々の時代には想像すらできなかったほどの「高い英語力を持つ小学生」は増えていくことが予想され、その子たちを公立・私立を問わず各中学が取り合う構図が近い将来表面化することでしょう。有名私立中学が導入すればその勢いは一気に加速するはずです。その一方で「先に国語をきちんと学んでほしい」と叫ぶ英語教員や予備校英語講師もいますから、「英語入試」のスタイルはまだまだ変化していくかもしれません。

vol.119 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年3月号掲載

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