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Vol.12 「イマどきの大学生」の生活ぶりをのぞいてみよう
私は仕事柄大学生と接する機会も多いのですが、生活スタイルや価値観、悩みなど、いろいろと話してみると、自分が大学生だった頃と比べてその考え方や発想法などが大きく違っていて、ビックリすると同時に刺激を受けることが少なくありません。
今回は、早稲田大学学生部が発表した「学生生活調査報告書2008」を基に、いくつかのデータを紹介しながら、イマどきの大学生の生活ぶりをのぞいてみることにします。
学生生活で抱える悩みや不安
全体では「進路・就職等」の56.4%を筆頭に、「勉強」32.8%、「対人関係」18.8%と続きます。特に就職活動を直前に控えた3年生では、「進路・就職等」の不安が70.5%に達していて、昨今の経済情勢を考えれば、この数値は学年を問わず今後さらに上昇することが予想されます。また、1年生に注目すると、「勉強」が49.3%、「対人関係」の23.9%のほか、「アルバイト」も他の学年より高くなっています。
こうした数値からわかることとして、現在の大学生は「高校生活から大学生活へ」「大学生活から社会人へ」といった、生活環境の変化に関する不安を強く感じているようです。
将来の進路についての不安
全体では「志望する進路が絞りきれない」の32.0%、「志望する進路で自活できるか心配」の28.3%、「志望する進路先に進む能力がない」の28.2%と続きます。この項目で注目すべきことは、「やりたいことがみつからない」学生が、実に24.7%もいることです。学年別にみると1年生が28.9%、2年生が31.5%、3年生が28.4%、4年生が17.6%となっており、大学生のおよそ3割が「将来何をやりたいか」という自分のビジョンを描くことなく入学していることがわかります。これらの学生は、数値を見る限り、就職活動を開始するまで不安を持ち続けているようです。
大学生活をより充実させるためには、「大学で何をやりたいか」「将来どんな職業に就きたいのか」という明確なイメージを持って入学するかがポイントのようです。
皆さんのお子さんは「将来の夢」をお持ちでしょうか。なれる・なれないは別として、こうした「夢」を持ち続けて大人になれる人は、そう多くないようです。
学生のマナーについて
学生マナーが最も悪いと思われる項目は、圧倒的に「授業・ゼミ中の私語」でした。02年(22.3%)から年々増え続け、今年度は32.2%に達しています。携帯電話の音も含めて、こうした雑音によって学生の学習環境が崩されている様子がわかります。特に、「大学の授業に興味がある」学生ほどマナーの悪さを指摘する傾向があり(35.8%)、「授業に興味がない」と答えた人の数値(22.2%)と明確に差がついています。
自由回答欄には、「私語をする暇を与えないでほしい」「授業を通して教員が何を伝えたいのかわからない」など授業に対する不満が見受けられるようです。
大学ですらこの状態なのですから、中学や高校、小学校の中にも学習環境が崩れているところがあるのは当然でしょう。中学生までであれば子ども本人、あるいは親のしつけという要因も考えられるのですが、根本的には「授業の満足度」と密接に関係していることを、先生側も意識する必要があります。
大学生の食生活
私にも思い当たる節がありますが、学年が上がるにつれて「3食きちんと食べる」習慣が崩れ、さらに食事の内容では、男性の44.・8%が「価格」を重視しており、栄養バランスを心配する声が上がっています。この部分だけは昔も今も変わらない一面がありますが、特に男の子をお持ちのお母さんは、今のうちに料理をしっかり教えておいたほうがよさそうですね。
いかがでしたでしょうか? 彼らの思考経路は当然ながら小学生~高校生の間に培われてきたものですから、こうした生活ぶりは、もしかすると皆さんのお子さんの「未来の姿」を暗示しているのかもしれません。
参考 早稲田大学学生部 学生生活調査報告書2008
vol.12 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2009年 3月号掲載