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Vol.128 小学生の保護者だからこそ知っておきたい 「大学入試共通テスト」の中身

 現行の大学入試センター試験は2019年度(2020年1月実施)で終了し、翌年(2021年1月実施)からは「大学入試共通テスト(以下共通テスト)」に変わります。すでに昨年から 試行調査(プレテスト)がスタートし、すでに出題形式や難易度、変更点などが本番に近い形で 公表されていることをご存知でしょうか。その中身を知れば知るほど「小学生にとって大学受験 はまだまだ先の話」とは言っていられなくなります。

共通テストが本格実施されるのはいつから?

 共通テストを最初に受験するのは2018年度の高1生ですが、現高1~現中1までの世代は、現在の学習指導要領に準じたテストになりますので、この共通テストが本格実施になるのは2022年度の高1、つまり現小6であることを知っておいてください。最近話題になる英語の「民間の資格検定試験をどのように活用するか」については、現小6が高校生になる頃には制度が固っていることが予想されますのでそれほど心配はいらないでしょう。しかしながら、新指導要領に伴い本格的に変わる試験の中身については早めに対応しておかなければなりません。試される学力が、従来の「知識・技能」に「思考力・判断力・表現力」「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」を加えた3要素と定義されていますので、これらの力を総合的に身につけておく必要があります。しかしながら、その中身が何なのか、あるいは何をどのように伸ばしていけばいいのか、といった具体的な方策については私も含めた保護者世代にはわからないのが実状なのです。

プレテストから見える「新しい学力」の中身

 かつての共通一次試験、そして現行のセンター試験には、マークシート式が採用されている関係上どうしても「知識偏重」「暗記」というイメージがつきまといました。それがどのように変わっていくのか、その中身をご紹介していきます。 ① マークシート式問題に加えて記述式問題が登場 国語と数学で記述式問題が登場します。マークシート式問題は残りますが、これまでと違って「正解を複数選ぶ(あてはまるものをすべて選べ)」という設問や「あてはまるものがない(解なし)」という選択肢も登場し、テクニックや暗記による準備では解を選ぶことが難しくなります。 ②思考力・判断力・表現力を問う問題が登場 多くの科目で設問数が減少するかわりに、資料やグラフを読み込んで考える問題が増加します。例えばプレテスト国語の第1問では、部活動の新設や活動時間の延長をテーマとして「生徒会部活動規約」「生徒会執行部会議事録」で3ページ、その執行部会が用いた資料の表が2種類と高校新聞の記事で2ページの合計5ページの情報を読み込んでから設問に答えなければなりません。 ③ 主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ 態度を問う問題とは? プレゼンの場面や会話形式が用いられ、複数の情報から解答を導き出す出題が多くなっています。これは「課題解決に至る途中経過」の中に、会話などで「他人との協働」という要素を注入できることが要因です。数学においても、太郎と花子の会話を通して正解を導く過程を考えさせる出題がなされています。


受験生の負担はどれほど増える?

 私が今年保護者会でしつこくお伝えしているのは「国語が苦手な者(特に男子)は大変だ」ということです。例えば国語は問題だけで49ページを100分間で解きますが、大問が5つあって80字以上の記述もありますので、長文に苦手意識を持つ者はその量に圧倒されてしまうことでしょう。そして、受験生が最も困った教科が国語ではなかったという点も知っておいてください。プレテスト受験生を対象としたアンケート結果をご覧ください。

                       
問題の量(文章や資料)は多かったと思いますか。問題を解く上で、試験時間は短かったと思いますか。
国 語78.5%53.8%
数学I・数学A92.0%80.5%
英 語(筆記)71.3%80.9%

そう思う+ややそう思う の合計

受験生が一番困ったのは英語でも国語でもなく、数学でした。数学といえば「問題文は短く計算が大変、公式を覚えてあてはめればどうにかなるかも」というイメージを持たれる方が多いと思いますが、残念ながら共通テストにはあてはまりません。計算力という「技能」だけでなく、様々な資質が試される試験に変わることが、問題例からもおわかりいただけると思います。

2017年11月実施 大学入学共通テスト試行調査

2017年11月実施 大学入学共通テスト試行調査

すでに変わり始めている高校入試

 大学入試の変化を受けて、一足先に公立高校入試もその中身が変わりつつあります。文章や資料を読み込む問題が従来から多かった国語や社会に加えて、数学では生徒と先生の会話を通して考え方を理解し、「根拠を添えて」解を求める問題が全国的に増えています。英語では「観光」「エネルギー」といった現代社会と関わりのあるテーマの文章と資 料を読み込んで答える問題が頻出となり、理科では「タコ足配線が危険な理由(2018年岡山県)」といった日常生活と密接な題材を扱うケースが増えていて、ただの暗記では答えられない問題の割合が急激に増えています。 お住まいの地域の公立高校入試問題はもちろん、近隣の他地域の入試問題にも目を通していただけると、20年前30年前との違いは一目瞭然です。どの教科においても「なぜ?」「どうして?」を考え、説明することが求められますので、小学生だからといってのんびり構えているわけにはいきません。こうした思考習慣は一朝一夕には身につきませんから、「覚える」「ノルマをこなす」といった受け身の勉強に終始しないよう、学習に対する基本姿勢だけは常に点検してあげてください。

vol.128 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2018年12月号掲載

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