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Vol.134 昭和末期から平成にかけての30年間で大学生はどのように変わった?

 元号が平成から令和に変わり、指導要領も入試制度も新しくなる現在の小学生が、文字通りの「新時代」を生き抜く世代となることを実感される方も多いのではないでしょうか。これから成長していくお子さまが、様々な分野で我々保護者世代と全く違う経験を積むであろうことは明らかですが、例えば「大学生活」はこの30年間ですでに様変わりしています。今回は日本大学の学生生活実態調査を基に「消えていく昭和」と現在を比較してみましょう。

大学受験・大学での勉強はどのように変わった?

 日本大学の場合、全国各地にある付属高校からの推薦制度(おおむね入学者の25%前後)があるため、元来他大学に比べると一般入試による入学者の割合は高くなかったのですが、それでも昭和末期から平成初頭には入学者の半数以上を一般入試受験組が占めていたことがわかります。その比率が平成末期で逆転していることをご確認ください(私立大学の多くが同じ傾向にある)。現在では受験方法が多岐にわたっており、1人あたりの受験回数が増えている要因になっています。

日本大学への入学状況

 入学後の勉学態度には興味深い変化がみてとれました。大学がレジャーランドと呼ばれていた昭和63年の数値では、大学生のおよそ半数が大学の授業に積極的ではなかったことがわかります。我々の時代に比べて現在の大学生はとにかく真面目に授業へ出席していると私も実感していますが、令和の時代には大学生から「代返」「ノートコピー」「サボり」といった言葉が消えていくのだろうと、平成27年の数値からはっきりと読み取ることができます。

日本大学での勉学態度

 この要因の1つには、前述の「推薦入試入学者が増加した」ことが挙げられます。不真面目だったりサボりくせがあったりする生徒はそもそも高校から推薦してもらえないので、結果として真面目な学生が増えていくことは当然です。私は30年以上前に「東京なんかに行ったら、遊び惚けて大学に通わなくなる」と父親に言われましたが、こんなやりとりも令和の時代には消えていくことでしょう。
 なぜなら、平成の30年間で学生の気質のみならず大学側の取り組みも変わっているからです。
 「勉学意欲を持てるようになった」と回答した大学生は、平成6年の34・6%から20年後の平成27年には56・2%、「学生生活が(とても+かなり)充実している」は30・8%から45・5%といずれも1.5倍になっており、逆に「学生生活が(全然+あまり)充実していない」は20・9%から10・8%へほぼ半減していることからも、「昭和の大学生像」は現代とはマッチしないのです。

大学生の生活はどう変わった?

 入学する大学生の気質が変化すると、当然ながら大学生の生活の様子も変わるはずです。授業の空き時間の過ごし方にも、我々保護者世代の大学生時代とは違いがあるようです。
 昭和63年と平成27年を見比べるとその変化は歴然としています。「主に1人で過ごす」が2倍になっていることは、スマホや携帯ゲーム機の普及で時間のつぶし方が変わっている証なのでしょう。むしろ、昭和63年には4割もの学生が空き時間を4人以上で過ごしていたというデータにも改めて驚かされました。

空き時間を過ごす友だちの数(%)

「どこで、何をしていたのだろう」と思い返す方も多いでしょうから、空き時間を過ごす場所に関するデータもご紹介します。
 30年の時を経て変わらないのは「図書館」「学生食堂・カフェテリア」です。増えたのは「空いた教室」で数値は2倍に。逆に減ったのは「麻雀・パチンコ等」が5分の1に、「学生ホール」「学校周辺のカフェ、ファミレス」「友人宅」がそれぞれ半減しています。傾向としてみてとれるのは「無駄なお金を使わないようにしている」様子です。これは、アルバイトに関する回答からも読み取ることができます。
この調査を開始した平成6年では、学費や生活費のためにアルバイトをしていると回答した学生は合わせて3割にも満たず、半数以上が旅行やレジャーの資金を貯める目的だったのです。バブル期の昭和63年の調査結果はありませんが、平成6年よりも旅行やレジャー目的が多かったことは容易に想像ができます。学費や生活費のためにアルバイトをする学生の割合は、平成18年で5割、平成24年と平成27年で6割と急激に増えていますから、大学生の経済事情が厳しくなった過程がはっきりと読み取れます。

アルバイトの動機・目的(2つ以内の複数回答:%)

 こうした数値からも、我々保護者世代が10代後半から20代前半を過ごした「昭和末期~平成初頭」がすでに遠い過去の話であることがわかります。平成が終わり令和を迎えた今、大学生の環境はもちろん小学生の環境も大きく変わろうとしていて、保護者も日々勉強して情報をアップデートし続けることが大切です。平成の30年間はあっという間だったように感じますが、実は教育を取り巻く環境は激変し今なお変化が続いています。いつまでも昭和の感覚のままで物事を判断していると時代に取り残されてしまうという危機感を、この記事を書きながら自分自身が痛感しているところです。

vol.134 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2019年6月号掲載

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