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Vol.144 高校生の保護者が抱く「教育改革への期待と不安」

 大学入試共通テストに代表される「教育改革」は、これから始まる教育指導要領の改訂とともに本格的にスタートします。小学校で英語が教科となったり、中学数学では統計を本格的に扱うようになったりしますが、そのゴールは大学入試改革であることは前月もお伝えしたばかりです。今回は、その改革について新高3生とその保護者が感じている期待と不安の中身を紹介しながら、小中学生の保護者にも知っておいていただきたいことをお伝えしようと思います。

教育改革のメイン「高大接続改革」は不安が大きい

 小学生のお子さまをお持ちの保護者には、「高大接続改革」と言われてもピンとこない方もいらっしゃることでしょう。これは「高校教育」「大学教育」「入学者選抜(大学入試)」をセットで改革して「新しい学力の3要素」を育成しようとするものです。
①知識・技能
 ②思考力・判断力・表現力
 ③主体性・多様性・協働性

 この具体的な内容について、2019年9月〜10月に行われた調査結果を基にして紹介していくことにします(表1参照。2019年11月以降に発表された共通テストに関する変更は回答に加味されていません)。

「大学入学者選抜」に関する教育改革への期待と不安

 大学入試共通テストにおいて「英語民間試験の活用」「記述式問題の導入」は見送られましたが、この数値からも高校生・保護者がともに大きな不安を抱えていたことがわかります。
 また、各大学が個別に行う入試が筆記試験のみではなくなるということについても、回答者の半数以上が不安を覚えています。この変更については英語や記述式の影に隠れて報道されることが少ない分、詳細を把握できていない人が多いのだろうと推測します。受験者の学力のみならず個性や能力を含めた全体をしっかりと見て評価する仕組みは、現在の小学生が大学入試を迎える頃には間違いなく当たり前のことになっているはずですので、保護者は「自分の時代にはなかったことだからわからない」と逃げ腰になることなく情報収集を続けていく必要がありそうです。
 期待が不安を上回っている数少ない項目を見ると、高校生では「大学がアドミッションポリシーを公表する」でした。大学側が求める人材が明確にイメージできれば自分の進路選択の際には貴重な材料になるはずですから、偏差値・ブランドで大学を選ぶ学生の比率が減る一助となることでしょう。
 保護者の期待が高いのは「AO・推薦入試で学力評価が必須となる」でした。中身は前月紹介しているので割愛しますが、「暗記だけでは対応できない大学入試がよい」「とはいえ、学力を不問にするのもよくない」という微妙な親心が透けて見える結果となりました。

高校生保護者から現小中学生保護者へのメッセージを読み解く

 次は「子どもの進路選択に関するアドバイス」に関する調査結果(表2)です。

進路選択について子どもにアドバイスすることは難しいか

 実に10人中7人の保護者が難しいと感じています。その理由のトップは「入試制度をはじめ最新の進路情報を知らない(54・7%)」で、「社会がどのようになっていくのか予測がつかないから(44・0%)」「家族の経済的理由で、子どもの進路の選択肢を狭めざるを得ないから(24・0%)」に大きく差をつけました。これは、教育改革に不安を抱く1つの要因であると同時に「しっかりと親も勉強して情報を知らないと進路に関する会話ができない」という危機感の裏返しでもあります。
 事実、進学希望者の保護者に限定した「進路選択行動への関わり方」を紹介すると、

・興味を持った学校の入試方法を調べる(85・2%)

・どんな学部、学科、コースがあるか調べる(85・1%)

・興味を持った学校の見学に行く(オープンキャンパスなど)(80・4%)


など、軒並み高い数値となっています。これは「子どもに調べるように指示した」ではなく「保護者自身が行動した」ことです。つまり保護者自身が大学に足を運ぶことも含めて、自ら情報収集をして子どものサポートにまわっているのです。これは、現高校生の保護者から小中学生の保護者への「やっておいたほうがいいわよ」というメッセージと受け取っておくとよいでしょう。入試改革についてはまだまだ不安を拭い去れない状況が続くわけですから、進路選択行動のプロセスを子ども任せにせず一緒に考え、情報を集めアドバイスまで行う保護者は今後増えることはあっても減ることはないでしょう。その心情は皆さまもよくおわかりになるのではないでしょうか。

 最後に、前述のアンケート項目から教育改革の全貌を知り社会の急激な変化と照らしたときに、皆さまはお子さまへの接し方で「変化が必要だ」と思ったことはあるでしょうか。このアンケートに回答した保護者からは、

・自分で選択し、それに責任を持つことが大切だと言う(30%)

・子どもがチャレンジできる機会を創ったり増やしたりする(28%)

・ニュースや社会の動きについて一緒に考えたり会話する(26%)

・「あなたはどうしたい、どう思う」と子どもの意見を尊重する(24%)


などが、今後特に心がけたいこととして挙がっています。しかしながら、これらはほとんどが小学生からの積み上げが可能なものです。お子さまが高校生になってから急に力を入れずとも、オープンキャンパスに足を運ぶ時間がなくても、今日この瞬間から少しずつ変えていくだけで充分にお子さまの進路選択行動にはプラスの要素となりえます。この積み重ねの差は数年後には大変大きなものになることでしょう。

vol.144 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2020年4月号掲載

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