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Vol.153 小中学生の保護者も無視できない「高3・高2生の受験動向変化」

 受験シーズン本番を迎える季節となりました。御多分にもれずこれまで「当たり前」とされてきた受験関連の常識のいくつかも、コロナ禍によって否応なく変わりつつあります。もしかしたら数年後には「新しい常識」となっているかもしれない変化を一足早く知っておくことは、お子さまが中学・高校入試を迎える際にきっと役立つことでしょう。

学校の選び方が変わる

 私自身が高校入試を経験した80年代前半は、私立高校こそ学校説明会を実施していましたが公立高校は説明会すら開催されず、ただ偏差値とパンフレットだけで学校を選び、初めて志望する高校に足を運んだのが入試前日の下見だったことを覚えています。その後大学や専門学校が始めたオープンキャンパス、学校公開といったイベントは、その好影響から仕組みを真似して実施する高校が増えたことで今では一般的になり、公立高校や私立中学校でも広く行われていることはみなさまもご存じのことでしょう。
 ところが今年は、コロナ禍によってオープンキャンパスや学校説明会をオンラインで行うところが増え、参加型の説明会は人数制限によって大変予約がとりにくいものに変わっています。その結果、受験生自身が得られる情報(与えられる情報ではなく自身が感じ取る情報)が大きく減っていることを、私の目の前にいる生徒たちからもよく聞かされます。
 コロナは「よく知らない学校(大学・高校・中学)に足を運んで、初めて知る魅力を感じて勉強を頑張る動機にする」という、受験を志す生徒にとっての重要な機会を消し去ってしまいました。
 これまでの例でいえば、私が関わっている私立中学では、中学3年生の夏の課題として毎年「大学のオープンキャンパスに3校以上行きなさい」という指示が出ていましたし、地方の進学校の中には高1や高2の段階で地元の国立大学のオープンキャンパスに参加するツアーを組んだり、東京への修学旅行時に東京大学や早稲田大学等を見学する日程を組むことも珍しくありませんでした。中には、海外研修旅行にいく際に「羽田空港着→東京大学見学→成田空港へ移動」というスケジュールを組んだ学校があることも知っています。これらは、日々の勉強における目標設定としてはもちろんのこと、生徒たちの進路選択において「視野を広げておく」ために重要なことだからです。
 公立中学生に対しても、中2のうちに高校の説明会や文化祭にはできる限り多く足を運ぶように塾では指導しますし、小学生の場合は保護者に対して「小5のうちにできる限り私立中学に親子で足を運んでください」とお願いしています。実際に見て聞いて感じ取ったものは、ホームページの文言を100回読むよりも強く印象に残るからです。偏差値だけが学校を選ぶ基準ではなくなっているからこそ、学校に足を運ぶ意味は明確にあったのです。
 それが今年はなくなってしまいました。春の段階ですでに志望校を決めていた受験生にとっては影響ありませんが、その段階で志望校が決まっていなかった受験生はもちろん、翌年の受験に向けて準備を始めるはずだった高2・中2・小5には大変影響が大きかったようです。
 おそらく数年の間、「知らない学校をわざわざ調べるよりも、知っている(聞いたことのある)学校を選ぶ」「わざわざ遠い学校ではなく、近い学校を選ぶ」傾向が強くなることでしょう。足を運ぶことが難しくなるからこそ、中学・高校の情報はもちろん、大学に関する情報も少しずつ収集しておくことをお勧めします。

学校の受け方が変わる

 今年の大学入試では、「年内中に進学先を決めたい」と考え動いた受験生が増えたようです。具体的には私立大学に多く見られる「総合型選抜(AO入試)」や「指定校推薦」の利用によって、12月までに進学先を確保しようとする動きです。
 とある首都圏の高校では、指定校推薦希望者が例年の約1・5倍になったとのことです。首都圏においては、2018年から私立大学の定員が厳格化されたことによって全体的に難易度が上っていたため、数年前から指定校推薦希望者は増加傾向にありましたが、1月に始まる共通テストに対する不安はもちろんのこと、2月の一般入試が予定通りに実施されるのか(自分自身が無事に受験できるのか)が、志望校を決める夏の段階で不透明だったことが原因に挙げられます。
 高3生対象のある調査によると、「年明け入試から年内入試に変更する」と考えた生徒が22・9%(4月調査)から32・5%(7月調査)に増えたとのことで、私も大変驚きました。
 これが高2生対象の調査になると、何らかの形で年内入試を検討している生徒が42・2%もいることがわかります。特に女子は、年明け入試(従来通りの一般入試)のみを検討している人が3人に1人しかいないことに注目してください。

大学を受験する際に、検討している入試方式

 この傾向が一過性のものなのか、それとも今後数年続くのか、みなさまはどのようにお考えでしょうか。また、お子さまが大学入試を迎える際にはどちらの入試方式を中心に準備されますか。
 なお、私立大学側は一連の大学入試改革によって、コロナ禍の前から段階的にAOや推薦入試による入学者を増やす予定にしていたところが少なくありません。以前もお伝えしましたが、早稲田大学は募集定員全体に占める割合を一般入試と逆転させ、AO推薦入試を経た入学者を6割まで引き上げる目標を掲げています。慶應大学の総合政策学部と環境情報学部(SFC)は、2021年度入試からAO入試の受験機会を年4回とし、それぞれ100名だった定員をいずれも150名(合計300名)と50%増員する一方で一般入試の定員は各学部50名ずつ減らしています。

 このような大学入試の変化、高校生の受験動向の変化を知っておくと、将来お子さまが進学する高校の選び方にも微妙な影響が生じるかもしれません。年内入試を積極的に考える場合、高校3年間の平均評定が必要となりますので「無理してレベルの高い高校に進学するよりも、1ランク落として3年間上位の成績を確保したい」という視点に立った高校選びもアリでしょう。逆に年明けの一般入試を中心に考えるのであれば従来通りの価値観で「レベルの高い進学校」に進むことが有利に働きますが、こうした高校では指定校推薦やAO入試を利用する生徒が少なかったり教員の理解が及ばなかったりすることもあるので、年内入試との両天秤は注意が必要です。6年一貫の私立や国公立の中学に進学する場合には、AO入試や指定校推薦に対する考え方、あるいは評定のつき方(甘い・辛い)が学校によって異なりますので事前の情報収集は欠かせません。
 このようなことを知れば知るほど「大学入試なんてまだまだ先のこと」とは言えないことがおわかりいただけると思います。お子さまが現在小学生であってもこまめに情報を収集し、変化に素早く対応するための準備をコロナ禍の前よりも早く進めておく必要が生じています。

vol.153 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2021年1月号掲載

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