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Vol.169 コロナ禍2年目(2021年)の学習指導にはどんな変化があったの?(中学校編)

 新型コロナウイルスが我々の生活に影響を与え始めてから早いもので3回目の春を迎えました。臨時休校からスタートしすべてが手探りだった2020年度に比べて、昨年度(2021年度)そして今年度(2022年度)と徐々にではありますが指導形態の制約が緩和され、学校における学習指導にもさまざまな変化が生じているようです。私の手元に、昨年夏に全国の公立小中学校教員を対象として行われた調査結果がありますが、興味深いデータが多く1回では紹介しきれませんので、中学校編・小学校編とに分けてご紹介していきます。

2021年度の中学校で生じた変化はコロナ対応だけじゃない

 昨年度(2021年度)の中学校では、前述のように指導形態の制約が少しずつではありますが緩和され、2020年度に比べれば「授業中にできること」が増えています。しかしながら、中学校の現場で昨年生じた変化の最大の要因は「新学習指導要領の全面実施」だったのです。
 表1をご覧ください。

例1

 臨時休校によって遅れた学習内容を消化する目的が強くなったであろう2020年度の宿題に比べて、2021年度に大きく数値を伸ばした項目にご注目ください。
 まず、14.6ポイントの上昇となった「作文やレポート」についてですが、生徒から聞いた話では、とある中学校では技術の宿題でもレポートが出るそうです。例えば折り畳みイスを作るという実技があったとすると、作ったイスを様々な角度から写真に収め(配布されているタブレットを使用します)、その写真を貼付した横に良かった点・改善すべき点を列記して報告書を仕上げ、メールで送信するまでが宿題だというのです。さらに、作り始めるとレイアウトやフォントも気になり始めるとのことで、生徒たちの「時間がかかって大変なんですよ!」という嘆き(?)に、私は心から同意しました(だからといって塾の宿題が減ることはありませんが)。
 次におよそ20ポイントもの上昇となった「高校入試対策になる内容」では、新学習指導要領の全面実施が影響しています。数学を例にとると「素因数分解」という項目は、従来中3で学習する内容でしたが指導要領改訂に伴い中1に移りました。これは中3のさまざまな場面で登場する重要項目ですから、中1の冒頭で学習して終わりとして良いはずがありません。生徒の様子を観察しながらプリントなどで復習を課す先生が多くなるのは当然といえるでしょう。また、高校入試問題そのものがこの10年ほどで様変わりしており(難化、記述式の増加や長文化など)、中学校の授業あるいは宿題のワークだけでは対応しきれなくなっている背景も影響しています。こうした変化は、宿題だけでなく定期試験の内容にも波及しています。表2をご覧ください。

例2

 「入試問題に対応した問題を出す」がわずか1年で20ポイント以上もの急上昇になっていることがすべてを物語っています。宿題と同様に「2020 年度は実施する余裕がなかったけれど、昨年はできる余裕が生まれた」「新指導要領の実施に伴い新しい形式に慣れてもらいたい」という2つの要素があわさったことが要因ですが、保護者にとっても「定期試験に向けて、教科書やワークを完璧に消化していれば大丈夫」という自身の経験が通用しなくなる点で、情報のアップデートが必要となります。
 教科別では社会の準備にケアが必要です。「学校配布の問題集・ワークなどから問題を出す」「入試問題に対応した問題を出す」の項目がどちらも5教科の中で割合が最も高くなっていて、学校によって、作問する先生によって定期試験の出題傾向が全く異なることが予想されるからです。
 また、「定期試験なのにどうして?」と嘆きの声が聞こえてきそうな「まったくオリジナルな問題を作成する」という項目は、5教科の中で英語がトップとなっています。新年度を迎え担当の先生が新しくなった教科では、年度初回の授業で説明されるその先生の指導方針についてお子さま経由で保護者の皆さまもチェックしておくことをお勧めします。

日々の授業で変わったこと、変わらないこと

 毎日の授業についても、遅れた授業進度を取り戻す必要があった2020 年度に比べて、2021 年度の授業ではいくつかの項目に著しい変化が見られます。表3をご覧ください。コロナ禍の前から試行錯誤を経て定着してきた、グループに分かれて話し合いをしながら理解を深める「アクティブ・ラーニング型」の授業、あるいは自らが能動的に情報を集めて加工し表現(発表)するスタイルの授業を実践されている先生が多くなっていることがわかります。

 その一方で、英語や数学では休校の影響によって演習量不足となっている生徒の存在を無視することはできません。「反復的な練習を行う」授業も5ポイントほど2020年度より上昇しており、基礎基本の定着と新しい教育理念の浸透がどちらも大切であることをデータが教えてくれています。

例3

 今回の指導要領改訂は、小学校・中学校はもちろん高校そして大学入試改革も含めて「自分で情報を分析して吟味し表現する能力」の育成が柱のひとつになっています。今後コロナ禍の影響に左右される局面があったとしても、長期的に見れば中学生にも大人並みの説明能力が求められるようになるはずです。作文講座で「自分の考えを言葉で表現する」ために費やす時間と経験は、中学・高校そしてその先とお子さまの成長にあわせてより効果を発揮してくれることでしょう。
出典 ベネッセ教育総合研究所「小中学校の学習指導に関する調査2021」

vol.169 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年5月号掲載

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