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Vol.173 小中学生だからこそ知っておきたい 「大学生と情報端末の適切な付き合い方」

 現在の大学生は、幼少期からスマートフォンやタブレットPCといった小型で軽量の情報端末を使いこなしているため「スマホ(タブレット)で充分何でもできるし、パソコンはよくわからないし、スマホで大丈夫でしょ」と考える傾向があるようです。その一方で「大学生のパソコン離れ」を問題視する声も大きくなっています。何が問題なのか最新の動向をしっかりと調べて確認し、お子さまの利用状況にも活かしていきたいところです。

大学生の勉強はスマホで完結できるの?

 私が知る限りでも、中学入学時からタブレットPCの使用を前提としている中高一貫校は少なくありません。課題の提出をオンラインで済ませることはもちろん、部活においても自身のフォームを動画撮影してチェックする程度のことは日常的に行われているようです。こうした端末が1人1台ある一方で、PCは「家に1台あって家族と共有」「学校にあるものを使うだけ」など、普段使いの端末としては中高生にはなじみがなくなっているようです。そのためでしょうか、「PCを充分に扱えない大学生、新社会人が増えている」という声も近年よく聞かれるようになりました。ここでは、神奈川大学が発表した「2021年度 学生生活実態調査報告書」から、その実態を見ていきます。

例1

 ほとんど全員がスマートフォンを持っているのに対して、2017年から2021年までの4年間でノートPCの所有率が17ポイントも上昇していることにご注目ください。大学生にとってノートPCは「なじみがなくてわからない、使えない」では済まされない位置づけに、この数年で変わっているのです。
 コロナ禍に伴うオンライン授業で必要になったことは想像できますが、「スマホでの動画視聴のほうが疲れるから」程度の理由では、従来使っていたであろうタブレットとは別にわざわざ新しい情報端末を用意するための動機としては強くありません。
 実は現在、全国的に大学における「ノートPC必携化」の動きが急激に進んでいることを、保護者のみなさまには知っておいていただきたいのです。「大学 パソコン 必携化」で検索すると、本当に多くの大学が2021年度(令和3年度)、2022年度(令和4年度)の入学生からノートPCを必携とする告知を出していることがわかります。
 例えば広島大学では、ノートPC必携化の目的を、
・ 高度情報化社会において情報通信技術の活用能力を有する人材を輩出すること。
・ 情報通信技術を活用した先進的講義手法により教育力を強化すること。
・ 各種配布物や提出物のペーパーレス化を推進すること。
と公表し、学部・学科によっては用意するPCに細かく指定がされています。
 これではわかりにくいので、私なりの解釈を加えて説明すると、
① 大学入学共通テストで「情報」が必修となったように、情報通信技術の活用能力を有する人材、知的生産に携わる人材育成は国をあげて緊急の課題である。
② 就職活動時や社会人になった後、PCを使う必要にせまられる日が必ず来るので普段から授業でも積極的に使う。操作に慣れておく。
③ Wi–Fiしか使えないと通信速度が遅くなったり不安定になったりすることがある。学内ネットワークやデータベースへの接続時に、つながらなくて困ると大変だから有線LANケーブルも使える端末のほうがよい。
というところでしょうか。②については私自身がスマホのフリック入力に戸惑うのと同じで、キーボードのタッチタイピングもある程度時間をかけて慣れないと習熟しないものです。キーボードを見ながらの入力では、資料に目をやる時間と合わせて2倍の労力がかかるため生産効率は悪くなります。社会人になって初めてこの現実と向き合えばかなりのストレスがかかるので、早く慣れておくに越したことはありません。

SNSの利用状況について

 情報端末が手元にあることによって、現代の子どもたちの周辺には我々が子どもの頃には予想もできなかったトラブルが見え隠れしています。中高生の間で流行しているInstagramやTikTokあるいはTwitterといったSNSをめぐっては、「炎上」がしばしば世間を騒がせています。こうした事例を百も承知の大学生は、自身の個人情報管理についてどのように考えているのでしょうか。

例2

 本人が公開した断片的な個人情報をつなぎ合わせて個人が特定されたり、公開範囲の限定・短時間のみ公開といったケアをしていたのに情報が流出してしまう事例が後を絶たないこともあって、この4年の間でも「個人を特定できる情報を開示しない大学生」が増えていることがわかります。
 この割合は当然ながら就職活動を迎えるにつれて高くなるのですが(1年48・5%→3年59・1%)、開示していると答えた人の多くが、採用者がチェックすることを前提とした「名刺代わりの公開アカウント(当たり障りのない書き込み、サークルやスポーツなど自身の活動履歴だけを用意しておく)」と、普段使いの「非公開の別アカウント」を使い分けていることは想像に難くありません。
 中学生・高校生が不適切な内容を公開すると、多くの場合個人情報(制服や過去の書き込み、写真など)が特定された上で、学校に向けて外部からの指摘や抗議が殺到するといいます。これは大学生においても同様で、彼らが中高生時代に見聞きしたことも含めて、個人情報が流出した際のリスクが相当大きいと認識しているであろうことが、このデータから読み取れます。一昔前のような、無防備な大学生はほぼいないと思ってください。この流れは小中高生においても同様でなければなりません。多くの大学がガイドラインを設けて告知しているので、一度親子で確認しておくとよいでしょう。
 また、SNSをめぐっては「本人が意図しない不適切な利用」がしばしば問題になります。例えば20歳未満の飲酒・喫煙であれば誰が見ても不適切ですが、著作権に代表される知的財産権の侵害(例:作成者の許可なく作品を自分のものとしてアップしてしまう、教科書や問題集を撮影してアップしてしまう)は、「誰も困る人がいないのだから」という理由で自分の行為を肯定してしまう小中高生が少なからず存在すると聞いたことがあります。何がOKで何がNGなのか、具体的な行為についてしっかり調べてみれば、小学生ならそのまま夏休みの自由研究に使えそうですね。

vol.173 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2022年9月号掲載

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