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Vol.181 首都圏 or 地方、公立 or 私立、大学入試でどんな違いがあるの?

 春になり、なんとなく街中にコロナ前の日常が戻ってきた感があります。しかしながら、大学入試を取り巻く環境は、元に戻るどころか新高2が大学入試を迎える2年後から更なる変化へ向かいます。どうやらお子さまが進学する高校の属性(首都圏or地方、公立or私立)によって、日常の学習や大学入試への準備においていくつかの点で違いがあることが、早稲田大学が発表した調査でわかりました。今後お子さまが高校を選ぶ際の参考になる点を、ここで紹介していきます。

早稲田大学への入学者を出身高校別に分析する

 首都圏私立大学については、「定員厳守に伴う大幅難化」の影響で志願者数は2018年度入試をピークに減少していました。そこにコロナ禍が追い打ちをかける形となり、地方から首都圏への進学を躊躇するご家庭が増えたことは間違いありません。ある予備校のデータでは、2022年度の首都圏私立大学の合格者数全体に占める首都圏出身者の割合は75・2%とのことです。この割合はコロナ禍初年度の入試となった2021年(76・6%)よりは若干低下していますが、2000年以降で最も高い水準を保っています。
 首都圏私立大学の中でも有名な早稲田大学と慶應義塾大学を例にとると、1986年には首都圏出身の合格者の占める割合がそれぞれ約52%と約56%だったという情報がある一方で、2016年にはどちらも70%を超えているのです。ここで、早稲田大学が公表しているデータを見てみましょう。(表1)と(表2)をご覧ください。
 早稲田大学でも入学者の7割が首都圏出身者であり、現在50代の方々が大学生だった1980年代とは比率が大きく異なっていることを覚えておいてください。受験勉強や入試関連の情報を収集するにも、塾予備校が豊富にある首都圏のほうが対策を立てやすいことは明らかですから、地方在住の志願者は同様の情報を手にする機会を得られるように早めの準備が不可欠となります。
 次に(表2)からは、首都圏においては私立高校出身者が、非首都圏の場合は国公立高校出身者の割合が明らかに高いことがわかります。ただし、首都圏私立においては早稲田大学の附属校・系属校(野球で有名な早稲田実業など)も含まれています。
 また、中高6年一貫の学校に通った学生の割合を気にされる方も多いことでしょう。入学者全体の35・0%とのことで、入学者の3人に1人が中高6年一貫(国公立・私立含む)出身となっています。

表1・表2

入学者の出身高校によって変わること、変わらないこと

 ここからは、現在小中学生の保護者にとって覚えておきたい情報を紹介していきます。まずは(表3)をご覧ください。
 首都圏私立大学の多くが、総合型選抜(旧AO・推薦入試)の入学枠をまさに拡げているところです。
 ところが、2022年段階においては首都圏国公立高校の出身者だけが、この制度の存在を志望理由に挙げた割合が明らかに低いことにご注目ください。彼らだけが総合型選抜を嫌っているのか、それとも高校の方針によって使いにくい状況にあるのかはわかりません。どちらにしても、このデータからは「志望する高校における利用状況は説明会などでしっかり確認しておく」ことが必須であることがわかるのです。国立大学においては従来通りの一般入試を課す割合が高いですが、私立大学においては早稲田や慶應といった有名校においても一般入試を経ない学生を積極的に入学させており、「総合型選抜=安易な大学選び」という時代ではないことも保護者は理解しておきたいところです。
 また、総合型選抜では、日常の学習履歴の積み重ねが評価につながる点にも注意が必要です。(表4)をご覧ください。
 おそらくお子さまが大学入試を迎える頃には、総合型選抜の普及によってこのポイントは高校の属性に関係なく均一に10ポイント程度上昇することでしょう。なお、現在首都圏出身者と非首都圏出身者で10ポイント弱の違いがある理由は「大学の選択肢の違い」です。私立大学の選択肢がたくさんあって受験科目を絞ることが容易な首都圏と、まずは国公立大学進学を目指して満遍なく多くの教科を勉強することが前提となる多くの地方進学校では準備の仕方がそもそも違います。国公立大学を受験する際に必要となる大学入学共通テストの受験率を見ても、大学の選択肢が少ない地域ほど受験率は高く、選択肢の多い東京では30%台しかないことを覚えておきましょう。次の(表5)もご確認ください。

表3・表4・表5

 同じ国公立高校出身であっても、首都圏と非首都圏とでは文系科目については約1ポイント、理系科目については約9ポイントの差がついてます。その一方で、英語に関しては出身高校の属性に関係なく8割以上の学生が「しっかり勉強した」と回答していることにご注目ください。大学入試において最も重要視される科目が英語であることが、このデータからもおわかりいただけると思います。
 現在小中学生のお子さまには「学校の授業についていけること(書く、読むの徹底)」「民間検定などを利用したプラスαの学習」で、英語を得意科目にしてしまうことが必須といえるのです。
 
 参考:2022年度 早稲田大学学生生活・学修行動調査報告書(早稲田大学 大学総合研究センター)
 https://www.waseda.jp/inst/ches/assets/uploads/2023/03/2022_Student-Survey.pdf

vol.181 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2023年5月号掲載

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