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Vol.23 中学入試でも大学入試でも求められる「検証力」

 

 いきなりですが、皆さんに質問です。「今から50年の間に起こる交通手段の変化と、それが人々の生活に与える影響を想像して、具体的に述べなさい」
 少し考えてみてください。急に尋ねられても返答に窮しますよね。正直申し上げて私も聞かれたときにはちょっと困りました。日常全く意識していないことなので、急に聞かれてもイメージがわきませんでした。皆さんはいかがでしょうか。

受験で求められる要素

 先の質問は、ある大学の入試問題です。これからの日本人に求められている要素がギッシリ詰まっていて、しかも瞬時に点検できる良問だと思うのです。
 種明かしをすると、これは2008年に東京大学で出題された問題です。ただし英語の自由英作文(50~60語)ですが。実は、東大の自由英作文は「減点法」のため、例え中1や中2レベル(英検3級程度)の文法や単語しか使用していなかったとしても、誤った用法でなければ減点されることはありません。つまり出題者の意図は「何を考え、自分なりに整理し、まとめるか」をチェックすることであって、この段階までであれば、小学生にも「原稿用紙1枚ぐらいで」書かせてみることは十分可能なのです。
 いわゆる「人気校」と言われる中学が、受験生に求めること(前号掲載)と、まさに同様の意図が大学入試問題からも読み取れます。さらに突き詰めて考えると、まず「社会からの強いニーズ」が背景にあり、これが大学入試や中学入試に反映されていると考えるのが自然です。つまりそれは「検証する力」だと、私は思います。

 

幼少時からの積み重ねの大切さ

 この問題を例にとると、「空を飛べるようになります」とか「歩かなくてすむようになります」といった「単なる言いっぱなし」では通用しません。問題文中にある「人々の生活に与える影響を想像して」の部分が重要で、その根拠や課題を明示することが求められるからです。
 このような「明確な根拠に基づき自分の意見を論じる習慣」は、前回も書きましたが、残念ながら日本においては小学生の段階から教育されていません。だからといって、中学や高校でしっかり教育されるかと言えば必ずしもそうではなく、日本の中高生のほとんどが、ケアされることなく従来の「詰め込み」のシステムに従っているのが現状です(だからこそ新しい価値観を提案する中高一貫校に人気が集まるわけです)。
 そして注意しなければならないことは、このような習慣は「ある日突然身につくものではない」のです。この点に関しては幼少からの積み重ねが最も効果的であり、私の周りでは「中学生の時できなかった者は、高3になってもやはりできない」「高3でしっかりできている者は、中学生のときにもしっかりできていた」という傾向がはっきりしています。
 東大と同様に、我々から見て「面白い自由英作文」を課すのが慶應大学経済学部です。次に小学生でも挑戦できる問題を紹介してみます。日本語では250字程度にまとめることができれば十分でしょう。是非、親子で考えてみてください。

    

問題からのメッセージ

 おそらくほとんどの人が、指摘する問題点2つを「価格」と「待ち時間」にするのではないでしょうか。お子さんと話し合う時のポイントとして、見落としがちなコンセプト「お客さんの前でサンドイッチを作る形式のファーストフード店」に注目させてあげてください。「作るサンドイッチはコンビニで売っているものとは違う」ことを理解した上で、価格が適正かどうか考える必要があります。また、経営者の視点に立てば「閉店時間(コンビニとの競争に勝てるのか)」「日曜閉店(家族連れを呼び込めない)」といった問題点を改善するほうが現実的かもしれませんね。作文を書く前に、これらの客観的情報を検証しておくことが大切です。自分の感覚を一方的に書き連ねるのではなく「問題点の理由と改善策」を提示することが求められています。

【模範解答】
 この事業が日本で成功するためには、2つの問題点があると思います。1つ目はメニューの価格です。店舗の近くには塾や高校があります。これらの学生に昼食や夕食を買ってほしいのであれば、飲み物を含めて値段を下げるべきでしょう(具体的に金額も提示してください)。次に、平均待ち時間が長い点です。20分待つのであればコンビニに行くほうを選ぶ人が多数出てくることでしょう。待ち時間は現在の半分以下に短縮するべきです。

 最後になりますが、冒頭で紹介した東大の問題を私が「良問」と考える理由がもうひとつあります。今から50年後に何かを実用化できるようにするためには、この問題を解いた受験生たちこそが、今後中心になって開発に取り組まなければなりません。私はこの設問から「君たちの夢は何だ? その夢を持ち続けて必ず実現してくれ! それこそが日本の発展につながるのだ」という強いメッセージを受け取りました。皆さんのお子さんは、いったいどのような夢を書いてくれるのでしょうか。

vol.23 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2010年 2月号掲載

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