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Vol.26 「ゆとり教育との決別」まであと1年

 

 先日の新聞に、「2011年度から小学校で使われる教科書」の検定結果が紹介されていました。「ゆとり教育と決別」といった見出しとともに、算数で33%、理科で37%、全教科合計で25%もページ数が増える(現行教科書に比べて)との記述がありました。「しっかり勉強させましょう」という、国の新しい方針通りに、来年度からすぐに現場が動けるのでしょうか。現場が混乱すればいちばん影響を受けるのは子どもたちなのです。私はとても心配しています。

教科書と授業時間

 今回改訂される教科書の分量は、「2002年問題」と呼ばれた際に使われた教科書(01年の検定)に比べると、算数・理科ではなんと67%もページが増えることになります。国算理社の4教科だと50%、全教科では43%増えることになります。

 
小学校教科書のページ数
検定結果発表年 4教科(国算理社)の平均ページ数:6年間合計
1988 3469ページ
1991 3396ページ
1995 3350ページ
1999 3278ページ
2001 3090ページ
2004 3639ページ
2010 4645ページ

2010年3月31日朝日新聞より

 それに対して授業時間数はどう変わっているのでしょうか。皆様もご存知のとおり、この20年間にわたる「ページ数の大幅な減少」と、「授業時間数の削減」はセットになっていました。
92年9月~毎月第2土曜日休業
95年4月~毎月第2・第4土曜日休業
02年4月~毎週土曜日休業(学校週5日制)


 この事実を基にして考えれば、今回登場する教科書をしっかり理解させるには「70年代~80年代前半程度の授業時間数に戻す」ことが必要であり、それでも計算上は足りないであろうことはおわかりいただけるでしょう。しかし実際には、土曜日休業の分だけ授業時間数が確保できないので、当時の水準まで戻ってはいないのです。

 
学習指導要領改訂に伴う授業時間数の変遷(小学6年間)
1980年 5785コマ
1992年 5785コマ
2002年 5367コマ
2011年 5645コマ

80年代の教科書に比べても「年間200ページ増」

 来年以降新しい教科書で学習する子どもたちは、80年代の小学生に比べて(皆様が小学生だった当時)も「年間200ページ分多くの内容を学ぶが、授業時間数は少ない」状況におかれることになるのです。年間200ページというのは、単純に国語・算数・理科・社会の教科書が50ページずつ増えていることを表します。かなりの分量ですね。
 国も、全くケアを考えていないわけではありません。国語は6学年合わせて84コマ増加しますが、そのうちの69コマ分を小1・小2に振り分け、週9コマの授業を確保して低学年での国語力強化を目指します。算数は6学年合わせて142コマ増加しますが、小1で年間22コマ、小2で年間20コマ、小3~小6で各年間25コマと均等に増加させ、学年ごとの演習量に差がつかないように留意しているのです。とはいっても、学校が年間35週で運営されるうちの20コマ程度ですから、実質「週1コマ」の増加にもなっていないのが現実です。それなのにページ数が33%も増えるとなると、授業の組み立て、理解・定着の確認など、現場の先生方にかかる負担はこれまで以上に多くなってくることはおわかりいただけることでしょう。
 しかも、知識の暗記や反復練習といった「基礎・基本」の定着だけでなく、「活用する力」を育てるための授業(記述や調査、発表など)も扱わなければなりません。正直申し上げて私は「現場は大混乱になるだろうな、先生方は大変だな」と同情します。

 

保護者もしっかり学んでドッシリ構える

    

 保護者の多くがご存知ないのですが、実は前回の指導要領改訂では「学校は最低限のことしか教えません。それ以上の内容を勉強させたいのであればご家庭でお願いします」と方向転換しています。それを学校側が上手に告知できなかったため、「学校では何も教えてくれない」という学校不信につながりました。
 おそらく今回も、上手に告知することはできないと思います。学校自身に「何をどうすれば上手くいくのか」という全体像が見えていないからです。すると保護者からは、「勉強量は段違いに増えたけれど、子どもの理解度に合わせて待ってくれない。どうしてウチの子をしっかり見てくれないのか」という苦情が生じることでしょう。
 とにかく授業時間数は足りません。きめ細かいケアをするための少人数指導をしようにも教師の数が足りません。書類作りなどに追われる教師には教材研究をする時間も足りません。
 我々保護者に求められていることは、まず国・自治体・現場の現状を知ることです。そうすれば、教科書のページ数が増えようが減ろうが、それが「しっかり勉強させる」という根本的な問題解決にはつながらないことが見えてきます。
 これらのことを理解した上でご家庭としての方針(塾へ行くのか行かないのか、中学受験するのかしないのか等)を考えれば、国の方向転換によってブレることはないはずです。逆に、親自身までが振り回されて混乱しているようでは、その子どもがかわいそうです。例え国や教師が混乱していても、最も身近な大人である保護者の皆様だけはドッシリと構えて子どもたちを見守ってあげてください。教育でも「自分の子どもは自分で守る」時代になってしまったのです。     

 

vol.26 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2010年 5月号掲載

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