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Vol.35 公立中高一貫校の人気はいつまで続く?

 

 2月といえば入試シーズンです。東京では、2月1日から始まる中学入試を皮切りに、高校入試や大学入試まで本番を迎え、緊張した面持ちの受験生を連日見かける日々が続きます。
 その中でも、特に熱気に包まれるのが「東京都内の公立中高一貫校」の入試です。昨今の景気動向も影響しているのでしょうか、大変高い人気を集めており、倍率だけ見ると「なかなか合格しにくい狭き門」となっています。その理由として、「公立中高一貫校であれば、私立受験ほどのハードな受験勉強は必要ないから」「公立中高一貫校のことはよく知らないけれど、公立中学に通わせるよりリスクが少ないと思って」といった、「受検準備に対するハードルの低さ」を挙げる保護者が多くなっています。今回は、あまりよく知られていない「公立中高一貫校の受検動向」について紹介していきます。

公立中高一貫校受検の現状

 2010年度には、東京都内の公立中高一貫校全11校(募集定員1604名)に10421名もの受検生が集まりました。単純に計算して、東京都の小6生全体のうち10人に1人が受検していることになります。2月3日に受験した首都圏の小6生がおよそ35000名といわれていますから、「この日の受験生のうち、およそ30%がわずか11校に集中している」といったほうが、その過熱ぶりが伝わるでしょうか。
 特に、この年開校した新設校(4校)には、あわせて4104名の志願者が殺到しており、同日行われる他の学校の入試にも影響を与えているものと思われます。この日には国立中学校も入試を行っているのですが、前年に比べて受験者が減少している学校が多いのです。経済的負担の低さは公立中高一貫校と同様ですから、国立中学の持つ「受験難易度の高さ」「高校進学に際しての制限」といった部分が敬遠されていると考えるべきであり、公立中高一貫校受検を考える保護者の傾向が「よりリスクを低く」「ダメもとでチャレンジ」であることを示しています。

 

全国に広がる公立中高一貫校

    

 東京近県においても人気は過熱しています。2008年に新規開校した県立千葉中学校は、県下トップ校である県立千葉高校に併設されたこともあって、初年度倍率がなんと27.06倍になりました(2009年度は16.6倍、2010年度も14.5倍)。2009年に新規開校した神奈川県の相模原中等教育学校は男子14.65倍、女子18.18倍という高い倍率でスタートしましたし(2010年度入試では、男子8.25倍、女子9.61倍)、2007年に新規開校したさいたま市立浦和中学校は、開校4年目となる10年度入試においても、男子11.5倍、女子11.7倍という高い人気を維持しているのです。
 そして、この人気は首都圏のみならず全国に広がっています。2007年度(平成19年)までに開校した公立中高一貫校は全国で72校でしたが、2008~10年度には各8校ずつ開校しており、全部で96校となって、いよいよ3けたの大台に近づきました。2010年度に東京の4校以外で開校したのは、宮城・岡山・徳島・宮崎の4県であり、地域的な偏りが見られないことからも人気のほどがうかがえます。     


第1期生の進路

 公立中高一貫校への期待として大きなもののひとつに「大学合格実績の高さ」があります。1期生の入学から卒業まで6年間かかりますから、これまでは「学校の受験指導力」を見究めることができませんでした。ようやく都内では、2005年度に開校した都立白鴎高校(附属中学を併設)でいよいよ今春に、06年度に開校した4校が来春に、6年間育てた1期生の受験を迎えます。ここで世間の注目を集めるような結果を出せば、公立中高一貫校の人気はさらに高まることでしょう。東京以外に目を向けると、すでに卒業生を出した学校がチラホラと見受けられるようになりました。2004年4月に開校した県立広島中学・高校では、2010年3月に卒業した第1期生(高校入学組も含む)から「東京大3名・京都大9名・大阪大16名・九州大12名・神戸大4名・広島大36名」といった素晴らしい合格実績を挙げています。同じく2004年4月に開校した京都市立西京高校(附属中学を併設)では、2010年3月に卒業した第1期生(高校入学組も含む)から「京都大28名・大阪大21名・神戸大29名」もの合格者を輩出して注目されています。

 

6年間通うベストな学校選び

 学校選びの価値観や評価が「大学合格実績のみ」で語れるものではないことは、私も承知をしています。しかしながら前述のとおり、公立中高一貫校へ進学させる保護者の中には「低いコストで、無理のない受検準備で、楽しい学校生活の中で、しっかりと大学に合格させてくれる」といった夢のような期待を抱いておられる方も少なくないようで、さらにこれを実現しつつある「理想の?学校」が登場し始めているのですから、人気が出ないはずがありませんね。都内の公立中高一貫校が期待通りの大学合格実績を出した場合には、この人気に一層火がつくことは間違いなさそうです。これまで以上の狭き門になりそうです。ただし、これだけは注意してください。保護者の方々にとってはキラキラとまぶしく見える学校であっても、6年間通う子どもたちにとっては必ずしもベストな学校とは限りません。学校ごとの自由度が認められている分だけ方向性やシステムはバラバラですから、私立受験よりも念入りな情報収集は必須になります。勉強面においても、日々の授業レベルやスピードの速さ、宿題の量などは保護者の方々の想像以上に大変です。お子さまの性格やタイプ(処理能力の速さ)をよく見究めておかないとミスマッチは起こります。「大学合格実績」は学校選びの中ではひとつの要素にしかすぎない、ということを大人は忘れてしまうことがあります。学校説明会に足を運んだ際には、子どもの視点で学校を見究めてあげてほしいと思います。

   

vol.35 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2011年 2月号掲載

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