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Vol.38 首都圏の中学受験熱はどうなっていくのか

 

 この度の東日本大震災で被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。東北・関東のお子さまが、一日も早く勉強に集中できる環境を取り戻せるよう、心よりお祈り申し上げます。
 今回の震災において、首都圏の学校・塾といった教育現場では、普段注目されることの多い「指導力」ではなく「危機管理」の部分が注目されました。私が知る限り現場の方々の機転と奮闘のおかげで大きなトラブルはなかったようですが、これから中学受験を考える方にとっては、学校選びの際に気をつけておきたいことがいくつか浮き彫りになったのです。

子どもたちも「帰宅難民」に

 3月11日午後2時46分。首都圏においてもかつて経験したことのないほどの大きな揺れがあり、「これはただごとではない」と多くの方が感じたのではないでしょうか。同時に、まだ学校にいたはずのお子さまのことを心配されたと思います。
 実はこの日、都心の私立中学(高校)にお子さまを通わせる際の問題点がはっきりと露呈しました。地震直後から首都圏の鉄道が完全にマヒしたため、サラリーマンやOLがそうであったように、子どもたちにも「帰宅難民」が続出したのです。塾・予備校においても、すでにテストなどの日程を終了し学校の授業がないために自習に来ていた高校生を中心に、翌日まで帰れない生徒が多数現れてしまいました。
 当日は、公立・私立あるいは学校・塾の区別なく、安全確保のために子どもたちを「保護者が迎えに来た場合は」下校させる措置をとったところがほとんどのようでした。その連絡は学校からのメール配信のようでしたが、まず携帯電話の通話やメールの受信そのものが難しい状況になったこと、迎えに行こうにも電車は動かずさらには道路も大渋滞となったこと、保護者自身も仕事があり身動きがとれなかったこと、などにより、子どもを引き取りに行けない親が多かったようです。
 報道で見る限りでも、都内では共立女子中学高等学校810人、鴎友学園女子中学高等学校720人、日本大学鶴ヶ丘高等学校180人、巣鴨中学校・高等学校160人などの生徒が学校に足止めされ、頌栄女子学院中学校・高等学校では、電車が不通で駅から引き返してきた生徒も含め、全校生の半数を超える800人以上が家に帰れなかったそうです。
 埼玉の開智学園では「学校よりお知らせ」という形で地震発生後ホームページ上に保護者向け情報を公開していましたが、「生徒の大半が使っている私鉄が翌日になっても動かないため、各方面行きのバスを出して生徒を送り出しました」と公開した翌日の朝10時過ぎまで更新が続いていました。私は、塾で自分の授業を受講している都内の私立中学生たちに後から話を聞いてみました。やはり半数以上の生徒が当日は学校で宿泊したそうです。親が迎えにきてくれたという生徒は「迎えが来たのが午後9時頃で、家に帰るのに道が渋滞していて4時間かかった(通常30分弱)」と語ってくれました。
 帰宅困難となった生徒の安全確保と保護者への連絡について、通学範囲が広い私立校には特有の課題があります。これから中学受験をお考えになる方の場合、学校選びの条件の一つとして考えておくべき大切なものであると、私は考えます。

中学受験も「少数激戦」の時代へ!?

 さて、その中学受験ですが、首都圏(一都三県)の中学受験率(2月1日)は、平成20年度の14.8%を頂点として実はこの3年間下落し続けています。

 

首都圏中学受験率(2月1日)

                                       
H1412.4%
H1513.0%
H1613.5%
H1714.0%
H1814.3%
H1914.6%
H2014.8%
H2114.0%
H2213.6%
H2312.7%
森上教育研究所調べ

 これには、「ゆとり教育の事実上終了」「リーマンショックに代表される景気動向の変化」「公立中高一貫校人気の拡大」といった様々な要因がありますが、いわゆる難関校と呼ばれる中学校の人気に陰りは見えませんので、近年受験生を減らしている学校の多くが「公立中学校に不信を持つ保護者層の受け皿」として躍進してきたところだということは、傾向として捉えることができるのです。
 これに今回の地震の影響が加わります。中学受験塾で行われた今年の春期講習は、計画停電の影響や余震による交通手段の乱れを心配するためでしょうか、特に非受験学年の受講率が下がっているようです。新規入塾者の減少はもちろんのこと、これまで塾通いをしていた子どもたちのキャンセルも少なくないと聞きます。これが一時的な様子見なのかどうかは現段階ではわかりませんが、公立小・中がゆとりから方向を転換するタイミングも重なっているため、この地震をきっかけとして「無理して中学受験をしなくてもいいかな」と考えるご家庭が増えたとしても不思議ではありません。
 こうした状況を考えると、すでに受験に向けて準備を進めている新小6はともかくとして、新小5・小4の世代にとっては、かつてほど中学受験はブームにならない可能性があります。最難関校以外は若干合格しやすくなることが考えられるからこそ、学校選びはより慎重さが求められます。
 「偏差値が高いから」「公立よりマシだから」といった理由だけではなく、お子さまの性格やご家庭の方針をしっかり見定めた上で、最も適した学校を探してあげてください。

 

急激な社会変化の中で生きる世代

 今回の地震で日本は、「電気が思うように使えなくなった」というわかりやすいものから、今後何十年もの間に少しずつ明らかになっていくであろうものまで、様々な部分が変わってしまいました。当然ながら子どもたちを取り巻く環境も、それが受験動向であったとしてもこれまで以上に、急激なスピードで変化していくことが予想されます。こういう不安定な時代だからこそ、お子さまの進路選択には充分な検討時間を用意してあげてください。これから子どもたちが歩いていく時代は、結果オーライが通用する世界ではなく、中学の選択から始まって広い意味での「リスク管理」を一生要求される世代なのだと、私は思っています。

 

vol.38 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2011年 5月号掲載

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