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Vol.40 「理系の学校選び」で知っておきたいこと

 

 4月号で理科に関する話を紹介しました。今後小学校で理科の授業が増え、関心を持つ児童が増えたとしても、中学・高校でどう深めていけるのかという点については、保護者の皆さまには見えていない部分も多いと思います。そこで今回は「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」を紹介したいと思います。
 まだなじみが少ないと思いますが、社会情勢の急激な変化に伴い、お子さまの進学先選びの一つの指標として今後ますます注目を集めることが予想されますので、今回はその中身について紹介していきます。

スーパーサイエンスハイスクールの内訳

 「スーパーサイエンスハイスクール(以下SSH)」とは、2002年(平成14年)度にスタートした制度です。この2002年は「ゆとり教育」と呼ばれる学習指導要領の改訂(学校週5日制のスタートや学習内容、授業時数の削減等)が始まった年でもありますが、文部科学省は、「ゆとり」の一方でこうした「研究重点校」の設置を並行して行ってきたのです。
 具体的には、全国の高等学校(国公立・私立)の中から先進的な理数教育を実施するところを選び、大学との共同研究(研究者・指導者を派遣する、大学での体験授業実施等)を行ったり、国際性を育むための取り組み(英語での理科授業実施、国際的コンテストへの参加等)を推進したりすることを通して、将来国際的に活躍できる科学技術系人材の育成を目的としています。SSH指定校は2002年度は26校からスタートし、規模の拡大に伴い2011年度現在145校が指定されています。

 

◆SSH指定校(全145校)都道府県別の内訳◆

                                       
1校2校3校4校5校6校8校9校12校学校数
宮城県
鳥取県
愛媛県
高知県
佐賀県
長崎県
宮崎県
青森県
岩手県
秋田県
新潟県
山梨県
岐阜県
三重県
島根県
広島県
山口県
徳島県
熊本県
大分県
鹿児島県
北海道
福島県
栃木県
群馬県
神奈川県
石川県
長野県
静岡県
滋賀県
和歌山県
香川県
茨城県
千葉県
福井県
奈良県
京都府
岡山県
福岡県埼玉県
愛知県
兵庫県
東京都大阪府都道府県

 関東・近畿地方の学校が多くなっているものの、地域バランスも考慮して決定されています。
 指定校の選考においては研究内容・方法や研究計画・体制などが審査されるため、おおむねその地域を代表する進学校などが中心に選ばれるようです。例えば関東では「東京都立日比谷高等学校」や「埼玉県立浦和第一女子高等学校」など、近畿では「京都市立堀川高等学校」など、全国的に名の知れた学校が選ばれており、その審査の厳しさも手伝って、国公立・私立を問わずその学校のステイタスを示す一つの指標として定着しつつあります。

 

SSHはさらに強化されていく

 「ゆとり教育」のスタートと時を同じくして、「科学技術分野の人材養成」を目標に始まったSSHですが、事実上「ゆとり教育」が終了した現在でも、その規模は拡大され続けています。SSHに指定された学校をさらに強化する「コアSSH」という制度も2009年からスタートし、2011年度では全国29校が、「地域の中核的拠点」と位置付けられたり、「海外の理数系教育重点校との連携」を掲げて教育にあたったりするなどの役割を与えられています。
 指定された学校の中には、「東京都立小石川中等教育学校」や「横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校」といった学校の個性を前面に打ち出した新設の人気校も含まれており、今後受験生の動向に影響を与えるポイントの一つになってくることが予想されます。

 

SSHで勉強する意味

 SSHに指定された高校だからといって、在学する生徒全員が理数系重視の勉強に日々邁進するわけではありませんので心配は無用です。ほとんどの学校では学年指定や希望制など、受講生徒になんらかの制限や枠を設け、普段の勉強や生活と両立させることに気を配っています。SSHの勉強は大学レベルの講義や研究・プレゼンテーションですから(《注》参照)、その準備に要する時間や負担もかなりのものになります。
 そのため学校で行われる普段の授業・テストや部活動との両立まで考えると、時間の使い方に工夫が必要ですから、すべての生徒が受講できるものではないと考えるのが一般的です。しかし、最終的な目標が大学入試合格ではない以上、自分自身の将来の可能性への先行投資としてチャレンジする価値は充分にあるのではないでしょうか。

 昨今の就職情勢の変化からもわかるように、「国際社会で通用する人材の育成」は日本にとって急務であり、特に科学技術分野においては緊急度が高いとされているため、20年後30年後の日本を支える人材としてこうした学校で勉強した生徒への期待度は年々高まっています。お子さまを将来理系に進ませたいとお考えであれば、こうした学校もチェックしておくことをお勧めします。

《注》
☆京都市立堀川高等学校では、専門科目として「探究基礎」・「自然探究」という授業を用意し、京都大学大学院・京都大学数理解析研究所・大阪大学大学院といった大学・研究機関と連携している。
☆横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校の生徒が行った平成22年度生徒研究発表会のテーマは「動物細胞培養における血清の影響について」     

 

vol.40 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2011年 7月号掲載

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