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Vol.55 人生を大きく左右する「高校時代の学習習慣」

 

 先月のことですが、「高校時代の学習習慣が大学生活や就職などその後の人生にどのような影響を与えるか」という興味深い調査結果が公表されました。高校生を大学入学後や卒業後まで追いかけたデータを見ると、「高校生までに身につけておくべき習慣」の重要性を改めて考えさせられるのです。

授業以外の学習時間

 調査結果によると、高校1年では生徒のおよそ6割が授業中以外はほとんど学習しておらず、「1時間以下」と答えた者を含めると約9割に達しています。高校3年になると進路別に差が出るのは当然ですが、大学進学者でさえ「1時間以下」と答えた者が3分の1を占めてしまう状況なのです(下段 図1)。高校生の大学進学率が50%を超え、特に私立大学進学者の半数がAO・推薦入試といった制度を利用している実態を重ね合わせると、イマドキの大学受験が一部の難関大学を除くと全般的に「お手軽傾向」に向かっていることがよくわかります。高校受験の中学生だって、中3時には1日3~4時間は学校以外に勉強しているものです。大学進学者のおよそ半数が「高3時の勉強時間が1日3時間未満」で済んでしまう実態は、かなり深刻な状況だと私は思います。

      

高校時代の勉強時間が少ないことによる大学生活への弊害

 こうした大学受験の「お手軽傾向」は、勉強スタイルにも影響を及ぼします。勉強時間の短さは「浅く」「簡単に」済ます習慣を作ります。大学の勉強は「深く」が基本であり、しかも「テストの点数をとるため」に行うものではありませんから、高校時代までの勉強を通して「面白い!」と思える分野を見つけていない人にとっては、「大学で何を専攻すればいいの? どうやって勉強すればいいの?」となるのは当然です。
 事実、図2を見ても高校生が感じている「自分の進路への不安」がはっきりわかります。大学入学直前期(受験終了後)でさえ、4割の学生が進学先の専門分野と自分の適性について不安を持っているのです。
 この4割の学生に限定して行った追跡調査によると、1年次に「やりたいことがみつからない」と答えた学生が特に多く、2年次においてさらに微増する結果になったそうです。4年次においては、「将来が固まってきた」「自主的に学ぶようになった」と答えた割合が低い傾向にあり、進学時に選択した専門分野に確信を持っているかどうかが、大学生活のモチベーションに深く関わっていることが見て取れます。

 

高3時の学習時間が1時間以下だった学生(大学進学)のその後

 次に、高3時の学習時間が1時間以下だった学生(大学進学)に限定して、他の大学生と比べたときの差を紹介していきます。「大学卒業後にやりたいことが決まっている」「授業をつうじてやりたいことをみつける」といった、質問については、1年次から4年次までのいずれにおいても消極的な傾向が強く現れています。その反面「やりたいことがみつからない」「授業に興味がわかない」といった項目に関しては、あてはまる傾向をハッキリと見せており、先に紹介した「自分の進路への不安」を抱えていた者との重なりがイメージできます。
 また今回の調査では、大学卒業期の就職との関連についても結果がでています。高3時の学習時間が1時間以下だった学生(大学進学)の場合、大学4年時の就職決定率・就職先に対する満足度がいずれも他の学生に比べて9%程度低いものになっています。さらに、大学卒業後1年経過した段階での「自身の大学経験の評価」については、「考えた方向に進んできた」「人間的に成長した」という項目がいずれも10%程度、「得たものは大きかった」が6%程度低い評価となっており、大学時代の自身の成長を肯定的にとらえられない様子さえうかがえるのです。


「勉強は面白い」と思うから続けられる

    

 保護者の立場から見ると、どうしても子どもの学習状況を点数で結果だけを見てしまいがちです。保護者にこの傾向が強く毎回のテスト結果で一喜一憂しているようだと、子どもは「点数を取らなくてはいけない」という義務感で勉強を「やらされている」感覚に陥ります。受験を経て燃え尽きてしまうタイプの子はまさにこれで、受験終了後に共通して疲弊感が見られます。中学受験終了であればあと6年、高校受験終了であればあと3年続くわけですから、「もうやってられない」となる心境もうなずけます。
 一度崩れてしまった学習習慣を、高校時代にもう一度作り直すことは非常に強い意志を必要とします。ましてや、それほど勉強しなくても大学生にはなれてしまう時代ですから。今回の調査結果は「学習習慣を崩さないこと」の重要性をしっかりと示してくれていますので、皆さまのお子さまには「子ども自身が面白いと思うから続ける勉強」の時間を可能な限り提供してあげてほしいと思います。自分が興味のある分野を早く知り、自分自身で前向きに調べる習慣を身につけることは、中学生以降の「点数を取るための勉強」を求められる時期には難しくなります。だからこそ、小学生の時期の過ごし方が大切なのです。     


【参考資料】『高校と大学教育 調査から見えるもの』2012年8月(中教審高等学校教育部会 金子元久)より

vol.55 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2012年 10月号掲載

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