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Vol.63 小学生が抱える「算数の弱点」を分析すると

 

 小中学生を対象として行われている全国学力調査のことは皆さんもご存じだと思いますが、我々の耳に入ってくるのは「●●県はできる、▲▲県はできない」という結果のことばかりではないでしょうか。
「普通に勉強していれば正解できるレベルの問題が出題されているはずなのに、特に算数では正答率が著しく低いものがある」といった情報は、なかなか保護者までは届かないものです。今回は公表されている分析結果をもとに「算数における小学6年生の弱点」を紹介していきますので、お子さまと一緒にチャレンジしてみてください。

「解き方を知っている」だけの小6生が多い

 まず紹介するのは「平行四辺形の面積」に関する問題です。計算ドリルでよく見かける「単純に面積を求める問題」(2008年)では正答率が85.3%だったにもかかわらず、ここで紹介する問題(2007年)のように、出題の仕方を変えるだけで正答率はわずか18.2%まで下がってしまうのです。
 
 この問題では、中央公園の面積を「70×160」で求めてしまった小6生の割合が34.4%と、最も多くなっています。「平行四辺形の面積の求め方」は知っているはずなのに、どうしてこれほど間違えてしまう小6生が多くなるのでしょうか。その理由として、
 授業で扱う問題では解決に必要な情報だけが与えられている場合がほとんどで、条件の中から「必要な情報を探し出す習慣」がついていない
ことが挙げられます。つまり、日常の勉強が「図を見て目についた情報だけを機械的に処理しているだけ」に終わっている子どもが多いのです。これを図形でも文章題でも無意識にやってしまうのが「ドリル型学習」の弊害と私は考えます。お子さまの学習に心当たりがあるならば、普段の学習から答えの正誤だけをチェックするのではなく、「なぜそうなるのか」と考えた跡を残し説明できるような習慣を、日々確認していくように心がけておくとよいでしょう。
 ちなみに正解は「東公園のほうが広い」です。東公園の面積は110×100、中央公園の面積は70×150で求められます。

 

「割合の概念」を理解できていない小6生が多い

 続いて紹介するのは、小学生はもちろん中学生になった後にも「算数・数学嫌い」を増やす原因となる割合の問題です。これは正答率が17.9%しかなかった2009年の問題です。これは大人でも間違える人が多いはずなので気をつけて問題文を読んでみてください。
 
 問題をしっかり読まずにグラフだけ見て答えようとすると、ついつい2を選んでしまいがちですが、もちろんこれは間違いです。ところがこれを選んだ小6生は、なんと42.9%にも達しているのです。彼らがおそらく「ペットボトルの量が4月と6月はどちらも20kgだから」と考えたであろうことは想像ができますが、これが間違いである理由を子どもたちに教えるには「割合を一から説明しなおす」必要があるため、学年が進んでカリキュラムの消化に手一杯になっている学校だけで対応するのはなかなか大変なことなのです。
 おそらく子どもたちの多くは、「問題文の数字をかけたり割ったりすればよい」という割合の解き方は習ったものの、自分が何をやっているのか、何を求めようとしているのかといった「計算の意味」については、しっかり理解できないままに終わっているのでしょう。だから出題の形式が変わったり説明を求められたりすると、とたんに反応が悪くなってしまうのです。
 お子さまの小3、小4の頃の学習を振り返ってみましょう。文章題を「今勉強しているのは割り算だから、割り算で解けばいい」といった感じで、計算を作業として扱う習慣が身についてしまっていると状況はよろしくありません。この習慣は、中学生になった後には「どれだけ勉強に時間を割いても、問題数を増やしても、数学が解けるようにならない」というより深刻な悩みに変わっていきます。
 ちなみにこの問題では、4月のペットボトルの重さ(20kg)が全体の重さ(80kg)の25%にあたることを正しく求め、説明の材料に使うことです。同様に6月の割合を求めてみると、ペットボトルの重さ(20kg)は全体の重さ(100kg)の20%にあたることがわかります。この2つの数値を求めてはじめて、正解が1である理由を述べたことになるのです。


算数・数学は「社会を生き抜く力」を養う

 今回紹介した「小学6年生の弱点」は、単に算数・数学の成績や入試の結果に影響を与えるだけのものではありません。「必要な情報を取り出す」「数字を使ってわかりやすく説明する」といったスキルは「課題発見力」「表現力」と名前を変え、社会人になった後にも必要とされます。就職試験の際にも必ずチェックされると考えておきましょう。
 だからこそ、小学生のこの時期から場合によっては修正が必要です。普段の授業で「きちんと式を作りなさい」「図を描いてみなさい」と指導されていると思いますが、お子さまはきちんと書けているでしょうか。計算を暗算でやりたがって、答えだけ出して満足していないでしょうか。この時期に身につけておきたいのは「自分の考えた跡を残し、他人に読ませる(説明する)ことを意識する」ことです。
 どんな優れた科学者であっても、自分の頭で考えたことを他人に伝えることができなければ、ただの変人でしかありません。
 「何を見つけ、考えるのか」「どうやって他人に伝えるのか」
 算数・数学を通して身につける力は、社会を生き抜く力そのものなのです。

vol.63 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2013年 6月号掲載

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