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Vol.65 他人事ではない「中高生のネット依存」

 

 8月の初め、『ネット依存の中高生、国内に51万人』という報道が流れました。今の小学生は生まれたときから携帯電話やインターネットが身近に存在する世代です。しかしながら我々保護者世代にとっては「自身の幼少期には経験できなかったツール」ですから、その使わせ方や将来に及ぼす影響など、ここまで深刻とは思わなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「ネット依存」の実態とは

 厚生労働省研究班が行った全国の中高生10万人を対象にした初の調査で、インターネットに没頭してしまうなど依存の疑いの強い中高生が8%いたというのです。報道によれば、依存の疑いが強い生徒は男子約6%、女子約10%(全体では約8%)で、中高別では中学生が約6%、高校生が約9%いたといいます。1クラスを40人とすれば、3~4人が「ネット依存」の状態にあるというのですから、その実態は決して楽観視できるものではありません。

★インターネット依存の調査項目
(1)ネットに夢中になっている
(2)満足を得るため、使用時間をだんだん長くしていかないといけないと感じている
(3)使用時間を減らしたり完全にやめようとしたりしたがうまくいかなかったことが度々ある
(4)使用時間を短くしたりやめようとしたりしたとき、落ち着かなかったりイライラしたりする
(5)使いはじめに意図したよりも長時間オンラインの状態でいる
(6)ネットのために人間関係や学校、部活動のことを台無しにしたり危うくしたりした
(7)ネットの熱中を隠すため家族や学校の先生にうそをついたことがある
(8)抱える問題や不安な気持ちから逃げるためにネットを使う
 ※「はい」か「いいえ」で回答。「はい」が5つ以上の場合、「依存の疑いが強い」とされる。

 特に目を引くのが「病的な使用」とされた中高生のうち「睡眠時間が6時間未満」と答えた者が43.0%もおり、調査時点の直近1か月の午前中の体調が「常に悪かった」「しばしば悪かった」と回答した者の割合24.0%と合わせて、いずれもネットに依存していない人と比べて割合が1.6~2.7倍高かった点です。総務省が今年発表した同様の調査報告書でも、「夜遅くまでネットをすることで、睡眠時間が短くなっていますか」という設問に対し、中学生の18%、高校生の35%、大学生の31%が「ある(いつも+よく)」と答えていて、中高生の自由時間の使い方に多大な影響を与えていることがわかります。

 

「テレビの見過ぎ」とは質が違う「ネット依存」

 私もネットで調べものをしながら段々と違うことを検索し始め、気がついたら随分と時間を浪費していたという経験が何度もあります。ましてや自己管理がまだまだ充分でない中高生にとっては、ネットで時間を使いすぎないはずがありません。事実、今回の(5)にあたる調査項目と同様の設問が行われた総務省の調査結果では、中学生の3分の1以上、高校生・大学生・社会人の半数が「気がつくと思っていたより長い時間ネットをしていることがある」と答えています。
 この状態について「昔だってテレビの見過ぎと言われていたじゃないか」と楽観的に考える方もいらっしゃいますが、私にはその中身を同質と捉えることに抵抗があります。
 テレビの場合「放送時間が決まっている」ことを忘れることはできません。ライブで視聴するにせよ録画して後から見るにせよ、放送時間が決まっている以上区切りを入れるタイミングが存在しているのは事実です。
 それに対してネットの場合、ゲームであれチャットやメールであれ「終わりのタイミング」を図りにくい特性があります。ここには「相手とのコミュニケーション」が存在するからです。よほど自己管理がしっかりしている人でないと、ダラダラと相手に付き合ってしまうケースも多いでしょう。
 私が関わっている中学生からも、勉強机周辺に携帯電話を置いておくと「友人から届いたメールが気になり勉強に集中できないことがある」という話をよく聞きます。総務省の調査結果によると「ネットで新しく知り合いを作ることがある」と答えた高校生は、「いつもある」「よくある」「ときどきある」を合わせると40%を超えているのです。
 例えば、大学に合格した学生にとってSNSを通して入学前に友人関係を構築しておくことが今では常識になっていることも、この数字を裏付ける事象と言えるでしょう。私にはちょっと理解しかねる部分もありますが、高校生にとってネットとは「既存の友人とのコミュニケーション」だけでなく「新たな人間関係の構築」の面で重要な役割を果たしているようです。だからこそ「終わらせるタイミングが難しい」のかもしれません。


小学生のうちに「ルールの徹底」

 最近では、中学生になると携帯電話を欲しがるケースが多いようです。私が見る限り、パソコンについては「リビングに置いてあって、使ってよい時間帯・1日の使用時間が決まっている」といったルールが定められているご家庭が多いのですが、携帯電話の使い方については子どもが自室に入ってしまうとチェックしきれていないのが現状のようです。
 そのためには、初めて携帯電話を持たせるときのルール設定が大切です。
 ・ パスワードのロックをしない
 ・ 家庭内での使用場所はリビングのみ(自室に持ち込まない)
 ・ 親がいつでも履歴をチェックする

 これらはわが家で定めたルールですが、様々な場面で機能しました。携帯電話を自室に持ち込まないことで「勉強している途中で受信したメールに返信する」ことができなくなります。これをやり始めるとキリがなく結局勉強が中途半端なまま眠くなってしまう悪循環の元ですから、これを断つルールを作っておいたのは正解でした。
 インターネットは、使い方さえ間違えなければ小中学生にとって非常に有用なツールだと私は考えています。しかしながらここ数年、明らかに使い方を間違えて育った子どもたちを目にする機会が増えました。日常生活で「自己管理のためのルール」を気にする習慣がない中学生は、勉強であれスポーツであれ「目標を設定して頑張る」という姿勢に稀薄な面が見られる傾向があります。
 勉強は始めたものの、「ちょっと気が乗らないから休憩」ということを平気でやります。自習室に入ってわずか30分で買い物に出かけたり、途中で携帯をいじりだしたり、といった行動をとるのです。これは、「自分自身が使える時間には限りがある」という感覚が身についていないからでしょう。その結果、「机には向かったものの効果はあがらず、締切りまでに課題を仕上げられなかった」といった結果が頻繁に起こります。明確な目標を持ちませんから、いつも作業が「いきあたりばったり」の域を越えないのです。
 こうした悪影響は小学生の時から少しずつ蓄積され、中学のある時期に様々な問題としていきなり表面化します。携帯型のゲームも含めて時間の使い方が目に余るようであれば、中学入学前が「習慣を見直す最後のチャンス」と捉えて、ご家庭でのルールを決めておきましょう。

vol.65 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2013年 9月号掲載

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