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Vol.77 「大学生の保護者」が抱える心配や不安

 

 わが家には大学生の子どもが2人いますが、彼らがどれだけ成長しようとも妻の「子どもに対して抱く心配や不安」は、内容こそ変わってきていますが尽きることはないようです。今回は「大学生の保護者」を対象とした調査結果を紹介しながら、10年前には小学生の保護者だった方々が現在抱く心配事について見ていくことにします。

就職・進路に関する保護者の意識

 今回紹介する調査は、大学生の子どもを持つ父親母親を対象として2012年に行われたものです。わが家の食卓でもよく話題にあがる「就職・進路」に関する意識から見ていくことにします。

 

子どもの卒業後の進路に対する保護者の考え

単位:% 父親 母親
肯定 否定 肯定 否定
進路や就職について相談してほしい 56.9 12.5 67.0 9.8
大手企業に就職してほしい 32.8 19.6 34.1 23.8
地元で就職してほしい 33.7 27.5 35.6 28.1
海外で活躍してほしい 15.8 42.5 14.1 49.2

肯定:とてもあてはまる+まああてはまる 否定:あまりあてはまらない+全くあてはまらない

 大学3・4年の子どもを持つ親に絞った「大学卒業後すぐに就職できるかどうか」という問いについて、「心配した」と回答した母親は6割を超え、特に男の子を持つ母親では3割が「とても心配した」と答えています。そのためでしょうか、子どもが進路や就職について考える際には上の表にあるとおり「相談してほしい」と考える保護者が多いようです。しかしながら、4年生の保護者に対する「就職への関与」に関する質問では、7割もの保護者が「就職に関して親ができることは少ない」と感じていることもわかりました。このことから「相談はしてほしいが、特に何もしてあげられることはない」立場でやきもきしている保護者の姿が浮き彫りになってきます。
 また、「海外で活躍してほしい」と考えている保護者は全体のおよそ15%程度にとどまり、父親の4割以上、母親にいたってはおよそ半数が否定的な回答をしていることが注目されます。急激に進むグローバル化を頭ではわかっていても、まだまだ「自分には関係ない」と思っている保護者が多いことがうかがえます。今後、東京オリンピックをはさんだ10年間でこの数字がどこまで伸びていくのかが注目されますから、「将来を見据えた上での早めの準備」は考えておくに越したことはないようです。

 

保護者が大学に期待していること

 最近では「就職に関する指導・支援」を大学に求める保護者が多くなっていると聞きます。その期待の高さが今回の調査からも読み取ることができます。「大学の指導・支援に対する意識」という質問では、「大学で責任をもって指導・支援すべき」「大学が指導・支援してくれると望ましい」の合計値において、大学本来の役割である勉強関連の項目に続いて、「就職に役立つ知識やスキルを身につけること( 85.9%)」「業種や企業の実態を知ること( 81.0%)」といった就職関連の項目が並びます。特に「就職に関する知識やスキル」に関しては、大学に責任を求める声が3割に達していて、大学の在り方や教員の考え方そのものに影響を与える可能性が出てきています。大学からの情報提供に関しては、下の表のような厳しい評価となっています。
 これらの情報は一昔前であれば学生が自らキャリアセンターに出向いて入手するものでしたが、これらを保護者にも開示するように求める声が高くなっているようです。大学側は「学生自身に伝えればいいだろう」と考えているようですが、それだけ保護者が心配や不安を感じていることの証ともいえるこの傾向を重く見れば、大学側の意識改革がこれから進むかもしれません。

大学からの情報提供

単位:% 十分に情報提供された 十分ではないが
情報提供はあった
情報提供はなかった
卒業生の詳細な就職率・就職先 21.0 54.3 24.7
実際の就職活動のしかたや親の心構え 8.9 41.6 49.6
企業担当者からの大学や学生に対する期待 6.2 37.4 56.4
就職課やキャリアセンターの活用方法について 10.6 45.1 44.3

保護者の立ち位置は難しい

 ある講演会で聞いた話ですが、就職活動を終えた大学生の多くが「(活動中に)最も役に立たなかったこと」として「保護者の無責任な口出し」を挙げたそうです。保護者がよかれと思ったアドバイスが、単なる聞きかじりだったり就活の実態にあっていないものだったりして、皮肉な話ですがかえって子どもにストレスを与えることになってしまうそうです。そのアドバイスとして多いものは
(内定が出ないなら)公務員試験を受ければ?
(内定をもらうには)英語が大切なんでしょ。勉強すれば?
(内定をもらうために)とりあえず資格を取れば?

だといいます。特に語学については、保護者は「資格(TOEICの得点を含む)を取ればなんとかなる、就職に有利だ」と考えがちですが、実態は「資格をどう活かすかというビジョンを提示できなければ、取っていない人と同じ」扱いしかされないといいますから、現実を無視した聞きかじりの情報では、子どもの立場から見ればありがた迷惑でしかないようです。

 保護者が「これで自分の子どもも安心だ」と考える基準は、かつては「自分の子どもが『いい大学』『いい会社』に入ること」だったものが、最近では「子どもを一人前の社会人として世に出すこと(大学入学はゴールではない)」と変わりつつあります。だからこそ、私も含めた保護者はなんとか子どもの役に立つべく情報を集めようとするのですが、結果として子どもにさえ迷惑がられてしまうようでは意味がありません。大学生の保護者の立ち位置はとても難しいものです。わが家では、妻は「デキる保護者」を目指すようですが、私は、たとえ妻に「一緒に考えてよ!」と言われようとも、遠くから見守ることしかできません……。


    

参考資料:ベネッセ教育総合研究所「大学生の保護者に関する調査」2012年

vol.77 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2014年 9月号掲載

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