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Vol.82 現在の小学生が挑む大学入試はこう変わる

 

 年末の慌ただしいさなか、大学入試制度の大改革に関する報道が新聞紙上を飾りました。今回は、おそらく現小6生から適用されるであろう「新しい大学入試の仕組み」について紹介していくことにします。

大学入試制度大改革の「3本の柱」

 今回報道された変更点には、大きな柱が3本あると考えておきましょう。
(1)「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施
 このテストは2019年(平成31年)度、現在の小6生が高校2年生になるタイミングからの実施が予定されています。その内容を具体的に見ると、
 ・すべての高校生が受験することを前提とする
 ・受験することで、高校で学習する基本知識の習得状況の確認ができる
 ・在学中に複数回の受験が可能(例えば春と秋)で、いちばん良い成績が現在のAO・推薦入試やスポーツ推薦といった学力試験のない入試における選考資料となる
となっています。すでに私立大学に入学した学生の半数以上が「AO・推薦入試」による選抜を受けていますが、センター試験以外に彼らの基礎学力を測る指標が存在しない状態が続いていて、大学側が補習を行うなど対応に苦慮するケースが増えているのです。国が新しい「基礎学力の判定指標」を作ることによって、大学側は受験者の基礎学力を不安視することなく、小論文や面接、集団討論やプレゼンテーションといった選抜方法を課すことができるようになります。

(2)「大学入学希望者評価テスト(仮称)」の実施
 このテストは2020年(平成32年)度、現在の小6生が高校3年生になるタイミングからの実施が予定されています。これまで同様の学力試験(一般入試)で大学合格を目指す学生が受験するテストで、これまで実施されてきた「大学入試センター試験」に変わる位置づけのものとお考えください。
 ただし、その中身は大きく変わると言われています。これまでのセンター試験は知識や能力を教科ごとに単独で判定していましたが、新テストでは「考える力(思考力・判断力・表現力)」を重視するため、教科・科目ごとの問題以外にも「教科の枠にとらわれない総合型の問題」が出題されることになりそうです。そのため、これまでのマークシート型の解答だけでなく記述式の解答も用意されることになります。
 さらに英語については、「読む・聞く・書く・話す」のバランスを現在のセンター試験では正しく判定できていないという反省から、TOEFLなどの民間の資格・検定試験の結果も換算して利用できることになりそうです。
 気になるのは入試選抜における扱いですが、現在のような1点刻みではなく段階別の成績が示されることになり、その成績を各大学が判定材料に用いることになります。

(3)各大学が個別に行う試験の選抜方法について
 国公立・私立を問わず各大学が個別に実施する入試については、筆記試験の結果のみを判定材料に用いるのではなく、小論文や面接・志望理由書などを課すことで、様々な物差しで学生を「丁寧に、多面的に」評価することが求められています。また、各大学が事前に「どんな学生が欲しいのか、そのような学生を選ぶために、どのような意図でどのような入試を行うのか」を明らかにすることになります。

保護者の仕事は情報を収集・確認すること

 各大学の個別選抜方法としてヒントになりそうな事例を紹介します。
 京都大学が2016年度から実施する「特色入試」では、理学部の数学でなんと4時間もの解答時間を受験生に与え、試行錯誤しながら解答するプロセスも評価の対象にするそうです。通常の入試の解答時間は2時間半と、これでも十分に長い時間なのですが、大学側が発信するメッセージは明確に伝わってきます。教育学部の特色入試では日本語と英語の資料を読み込んで、3時間をかけて論述式問題に解答するそうです。
 また、国際基督教大は2015年度入試から新科目「総合教養」を設け、一般入試の受験者全員に課すことを発表しています。この試験科目が目指すのは「対策が立てられない問題」とのことです。
 大学が公表したサンプル問題では、受験生は欧州などのワインの歴史や文化について約15分の講義を聴き、その後「スターリンがチャーチルにブランデーを勧めたとされる会談は」といった歴史や、ワインの製造に関する化学式などが問われるといいます。よく言われる「暗記とテクニックを頭に詰め込む受験勉強」では、ちょっと太刀打ちできそうにありません。大学側のコメントには「予測できない問題に対して、学んだ知識や洞察力や思考力を使って答えを見抜けるか。問題に諦めずに挑戦できるか。そんな能力を測りたい」とあります。今後は、各大学がこのようなメッセージを受験生に向けて発信するようになりますから、受験する側もこれまで以上にしっかり情報を集めて準備し、大学側の望む資質を磨いておかなければならないのです。

 こうした新テストの一斉実施があと4~5年先だからといっても、ある日突然ガラっと入試形態が変わるものではありません。各大学の新しい個別試験に関しては、最も早ければ今の高校2年生から変更が始まります。どんな変化が起ころうとしているのか、ここ数年の間に様々な形で報道されることになりますので普段から気に留めておかれることをお勧めします。新しいテストのプレテストは早ければ2017年(平成29年)度中にも行われる予定とのことです。
 ただし、保護者として最も気をつけておきたいのはこれまで紹介してきた「入試形式の変化」よりも、皆さまのお子さまが将来通われる中学や高校の「変化への対応力」かもしれません。
 難関大学突破を目指し、現在の受験形式に合わせた受験対策を重視している私立中学や高校(一部の公立も)だと、新しい大学入試への対応に時間がかかるかもしれません。進学校の中には「プレゼンや課題解決能力は大学に入ってからでも伸ばせる」という方針でバリバリ勉強させるところもあり、大学合格実績や評判だけで進学する学校を選ぶと、その学校の教育方針が「お子さまの目指す大学が発信するメッセージ」と方向性が合わない場合、残念なケースとなる可能性も否定できないのです。
 だからこそ、ちょっと気になる中学や高校の入学説明会にはお子さまが受験学年でなくてもできる限り足を運び、その学校が「今回の大学入試改革をどのように捉え、何を変えようとしているのか」を、しっかり確認しておくとよいでしょう。

   今回の大学入試改革は「ペーパーテストの是非」といった形式的なものを超えて、大学はもちろん高校や中学も含めた教育システムを変えてしまおうというものです。その改革の過渡期を中学高校で過ごす皆さまのお子さまに不利益があってはならないことは当たり前ですが、これから不安や混乱が広がることも考えておかなければなりません。その点、お子さまが現在受講されている作文講座を通して身につけられる思考力・表現力といった能力は、今後の不安や混乱を消し去ってくれる大切な宝物となり得る可能性が高いものです。入試に影響されない「一生ものの財産」として毎日少しずつ磨いていってほしいと思います。

vol.82 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2015年 2月号掲載

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