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Vol.83 高校教員から見る「今の高校生に足りない力」

 

 我々が学生の頃にはあまり聞かれることのなかった「キャリア教育」ですが、社会構造の急激な変化も相まって、多くの高校で実施されるようになってきました。特に高校受験のない中高一貫校では、これらを特色の一つに掲げるところも出てきています。この「キャリア教育」を通して、高校は生徒たちのどのような資質を伸ばしていこうとしているのでしょうか。

キャリア教育の実態と課題

 我々保護者の感覚だと、キャリア教育といえば「職業調べ」「仕事体験」といったレベルのものを想像しがちですが、高校の先生方が考えるそれは「単なる進路進学指導、職業教育にとどまらず、生徒たちの生き方、生きる力を育成する」ことを目的にしているといいます。そのため、高校生に向けたキャリア教育は学校ごとにその中身は大きく違っているようです。例えば近年増えている総合学科や専門性の高い高校では、キャリア教育が生徒たちの多様な進路決定の一助になるため、その価値は高いものになります。一方で大学進学率の高い普通科高校では、キャリア教育と進学指導の境界線があいまいになりがちで、大学の先生に講演をしてもらうような形をとるところが多いようです。
 しかしながら、社会全体が先行き不透明であるために「生徒たちのどのような資質を伸ばしていけばよいのか」について、学校全体としての方向性が見えていないケースもあるようで、生徒たちに提供する授業の質が「担当する教員任せ」になっている気配もあります。

保護者も知っておきたい「社会人基礎力」

 実は、先生方にも私たち保護者にも知らない方が多いのですが、「中学・高校生の間に伸ばしたい(学力以外の)資質」にはすでにガイドラインが存在しています。これを社会人基礎力(P.9図参照)と呼びます。
 これは元々「大学生に求められる資質」として経済産業省が公表しているものです。この10年ほどの間に起こった世の中の急激な変化に伴い、経済界から大学に対して「世の中が求める人材をタイムリーに供給してほしい、求める人材とはこのような資質を持った者のことである」とのメッセージだと思ってください。具体的には、
知識の量だけでなく、「自ら課題を発見し、解決していく能力」
だと言われています。簡単にいえば「机に向かって黙々と勉強だけしてきた優等生」ではなく、「仲間や同僚とチームで課題を克服し、プレゼンテーションで周囲を説得できる人材」ということです。


今の高校生に足りない力

 ここであるデータを紹介します。社会人基礎力に関する「生徒たちの現状」について高校の先生方に尋ねた調査結果で、「これから必要とされる力」と「現在持っている力」を聞き、その差を見ることで「今の高校生に足りない力」「今の高校生が持ち合わせている力」を読み取るものです。

高校の進路指導に関する調査2014(3つまで回答)

  将来必要と
される力
(A)
現在
持っている力
(B)
A-B
主体性 55.7 12.7 43.7
実行力 35.3 7.0 28.3
課題発見力 43.1 1.9 41.2
発信力 30.2 5.9 24.3
柔軟性 18.2 18.4 ▲0.2
傾聴力 19.6 25.0 ▲5.4
規律性 14.2 40.4 ▲26.2

リクルート進学総研調べ

 これを見ると、先生方から見て今の高校生には「チームで働く力(チームワーク)」は備わっている、との評価になります。その反面、「前に踏み出す力(アクション)」と「考え抜く力(シンキング)」はまだまだ足りないと見ているのです。今の高校生には、
 ・規律を重視し、他人の意見はよく聞く
 ・主体的に、課題を発見し行動する実行力に欠ける
という傾向(いい子だけど、自分からは動かない)が見られます。高学年だと少しずつ見えてきている部分もありそうですね。
 我々が子どもの頃には「優等生」だったはずの「言われたとおりのことをそつなくこなし、評価を得るタイプ」の子どもたちが、社会に出るとそれまでとは180度違う価値観を要求されるのが現代社会です。高校までは当たり前の生活習慣だったことが、大学在学中や就職活動時、そして社会人になった後に普通ではなくなるとすれば、彼らが素直であればあるほど、要求される価値観が変わるごとに混乱するでしょうし、順応するまでには大きなストレスを感じるでしょう。
 我々保護者にできることは、こうした事実を知らないまま中学・高校時代を過ごす生徒が大勢いるということを知ることと、その上で子どもの「自分で考え・解決する能力」を少しずつ磨くことしかありません。日々の勉強をきちんとこなしテストの点をしっかり取ることも大切ですが、小学生であっても「ニュースを見て親子で意見を交わす」「図形の問題を時間無制限で考え抜く」といった経験を積むことは可能です。現在お子さまが受講されている作文講座も、きっと彼らの経験値を大きく上げてくれることでしょう。
 先行き不透明な将来を、20年後・30年後の彼らがたくましく生き抜いていけるための準備は、もう今から始めてもけっして早すぎることはないのです。

vol.83 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2015年 3月号掲載

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