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Vol.86 2025年の大学受験動向を分析してみる

 

 いま私の手元に「都道府県別大学入学者予測(2014年→2025年)」という資料があります。急激に進む少子化は、大学入試制度の改革と並んで将来の大学受験動向に大きな影響を及ぼします。今回は地域別の大学入学者減少率を紹介しながら、2025年までに起こり得る「大学を取り巻く変化」について整理していきます。

大学が巻き込まれる「2018年問題」を知っておく

 これからわずか3年後の2018年から18歳以下の人口が減少期に入るといわれています。2017年から2025年までの8年間で、18歳人口は約10万人も減少するのです。大学進学率が50%で推移するとすれば大学入学者は5万人少なくなります。これは1学年250人規模の大学が50校閉校に追い込まれることを意味するのです。ここ数年で拡がっている「学生が集まる大学と集まらない大学の二極化」の進行によって淘汰されないように、まさに今各大学は生き残りをかけて改革に取り組んでいるところです。皆さまのお子さまが18歳になる2025年前後は「その評価が出揃うとき」となりますが、おそらく2020年を境にして、偏差値を中心とした従来の評価基準と将来を見通した新しい評価基準が混在する時期が到来しますから、この時期の学生にとって大学選びは「羅針盤があてにならない状態での航海」に近いものとなるでしょう。よって、今から様々な情報を収集して「自分で羅針盤を用意する」ことが大切なのです。

地域別大学入学者予測(今後10年間)

①北海道・東北
 宮城県以外のすべての道県で、2014年に比べて15%以上大学入学者が減少します。この地域の特徴として「自道県に残留する学生」の減少率が高い(少子化が進んでいる)ことが挙げられ、青森の26.9%減、秋田の23.7%減など、極めて高い数字が並びます。他道県出身者の受け入れ率については、主にその役割を担っている宮城県についても18.9%減の見込みとなっていて、現在と同様の形態で運営を維持することが困難な大学が多くなるかもしれません。その反面、秋田県の国際教養大学のように「徹底した差別化をコンセプトにした小規模大学」であれば、役割が明確で留学生の受け入れも可能ですから、入学者減という現実を逆手にとってリニューアルしやすい環境にあるともいえるでしょう。


②関東・甲信越
 新潟県を除いた各都県で大学入学者の減少は15%以下に収まります。特に一都三県に限定すると、「自都県に残留する学生」の減少率は最も高い埼玉県でも5.5%、神奈川県に至っては逆に入学者数が増えることが予想されています。他地域ではおおむね10%前後ですから、「地元出身の学生が入学者の大半を占める」大学については、少子化の影響を受ける可能性が少なくて済みそうです。これは受験者の立場でいえば「それほど難易度は下がらない」ことを意味しますから、あまり歓迎できる要素ではありませんね。ただし、他地域からの流入者を多く受け入れる大規模大学では、他地域から関東地区への学生流入が12%前後減少する予測となっているため、学生の奪い合いが激化しそうです。ブランド力の再構築と教育・研究、設備の質の向上など、今後の改革次第で人気の急増・急落があり得ますから、これらの大学に限っていえば、現在と10年後では評価が大きく異なっている可能性が高いです。


③東海・北陸
 愛知・静岡は入学者の減少率は10%未満となる予測で、これは一都三県と同じレベルになります。この2県に石川県は「自県に残留する学生」の減少率が10%未満となる見込みですから、他地域からの流入者の増減に気を遣うことで、入学者が急激に減少するリスクを軽減することができそうです。他県については10%~15%の入学者減少率で横並びとなっていますが、富山と岐阜に限っては「自県に残留する学生」の減少率が「他県から流入する学生」のそれを上回っており、早急な改革(個性化・差別化)とそのアピールが必要な段階にきているようです。


④関西
 すべての府県で入学者数が10%~15%減少する見込みで、関西エリア内での大きな差はありません。しかしながらこの数字は首都圏に比べるとかなり厳しいものになっていますから、特に大規模大学では生き残りを賭けた差別化や質の向上が不可欠となりそうです。特に他県からの受け入れについては、京都で11.9%減、大阪が14.2%減、兵庫が16.0%減と、いずれも「自府県に残留する学生」の減少率よりも高くなっているため、近畿圏以外の地域からの入学者をどうやって確保するのか、各大学はこの点において今後10年間苦慮し続けることが予測できるのです。だからこそ保護者の方々は、各大学のリニューアルをしっかり見極め、首都圏同様に評価の変動を注視しておきたいものです。


⑤中国・四国
 入学者の減少率は広島県が唯一10%未満ですが、他県は山口県の15.2%減をトップとして10%~15%の範囲内となっており、関西の各府県の減少率とほぼ同じで推移すると考えてください。「自県に残留する学生」について見ると、香川県の6.2%減、広島県の7.0%減が低い数字として注目されます。
 この地域の特徴として「地域との連携」を全面に押し出す大学が多いことが挙げられます。岡山大学は地域医療・地域教育といった地域連携プログラムで学生が地域の人々とかかわれる仕組みを用意していますし、徳島文理大学は四国八十八ヶ所霊場や阿波踊りといった地域社会の文化を継承する活動に力を入れています。この方向性が今後10年で熟成していけば、こうした取り組みを学びたい学生を全国から呼び寄せることが可能になるでしょう。


⑥九州
 沖縄県の6.8%減を別とすれば、大分県の22.8%減、長崎県の19.2%減など、大学入学者の減少がむこう10年で顕著に現れる地域となります。運営に苦慮する大学が多くなるかもしれません。拠点となる福岡においても例外ではなく、「他県から流入する学生」の比率が10年後には20%減となる見通しで(「自県に残留する学生」の減少率は4.6%でしかない)、関東や関西の大規模大学との生徒の取り合いが熾烈化することが予想されます。ただし、その立地を活かせば他地域からの入学者減少分を「アジア各国からの留学生で補う」という発想の転換は可能で、地域全体でリニューアルを考えれば中国・四国地区と同様に「地域全体の特徴」として差別化できる余地があります。これらは、まさにこの数年間の改革次第となりますから、この地域にお住まいの皆さまは今後の動向に注目しておくとよいでしょう。

 今後10年で大学は「グローバル人材の育成」「地域特化人材の育成」「従来の分け方にあてはまらない教育(文理融合など)」の3種類に分かれていくことが予想されます。そこに立地や地域の特性がからみますから、大学の評価を偏差値のみで測ることは不可能になります。今からさっそく少しずつでも情報を収集して、今後起こり得る変化を先取りしておくことをお勧めします。

vol.86 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2015年 6月号掲載

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