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Vol.88 「子どもの勉強」について保護者が気をつけておきたいこと

 

 いま私の手元には、保護者に質問した「『子どもの学力』に関する実態調査」と子どもに質問した「小中学生の学びに関する実態調査」の2種類の調査結果があります。これらを組み合わせて動向を見てみると、私自身も保護者として反省しなければならないことが見えてきました。

母親は、テストの成績より勉強に対する姿勢のほうが気になる?

 保護者向け質問に対する回答で興味深いものに、「叱る」への対応がありました。テストの成績について「叱る(頻繁に+時々)」と答えた人はおよそ20%に留まるものの、学習姿勢について「叱る」人は46%とおよそ半数に達しています。子どもが小学生の間は、母親は勉強の結果よりもプロセス、つまり「勉強への取り組み方」や「学習習慣」を気にする傾向が見てとれます。

    

 関東圏では一貫して私立志向が過半数を占めています。これは、関東圏に住む大学受験生の総数に対して受け入れできる関東圏の国公立大学の数が適性ではないことも原因に挙げられるとはいえ、私立大学の選択肢が「多すぎて困る」という声が出るほどに豊富であることが最大の理由と思われます。逆に東海圏は一貫して国公立志向が過半数を占め、2015年度入試においても一段と国公立人気が高くなっていることがわかります。近畿圏では国公立志向と私立志向が毎年拮抗していますが、2013年を底として国公立志向が高まっていることがわかります。逆に私立志向は最も低くなっています。

 その一方で、子どもを対象とした別の調査結果(小中学生の学びに関する実態調査)によると、小学生の段階で60%以上の子どもが「どうしても好きになれない教科がある」と答え、約40%が「上手な勉強のやり方がわからない」「やる気が起きない」という悩みを抱えていることがわかっています。
 私にも親として覚えがありますが、子どもの学習態度・姿勢について何が気に掛かるかといえば「学習時間が少ない」「言われないと机に向かわない」「宿題すらきちんとやらない」「日によって学習意欲にムラがある」といったことではないでしょうか。子どもが高学年になるにつれて、算数や理科の中身について教えられなくなってくることもあって、保護者のチェックの中心はどうしても学習時間・方法といった表面的なものになりがちです。しかしながら子どもたちは、この時期にはすでに学習の質(動機づけを含む)について悩み始めています。何をどうすればよいのか見当がついていないまま立ち止まっている子どもの現実を無視して保護者が「ちゃんと勉強しなさい!」と叱ってしまうと、決して子どもに好影響を与えません。子どもの学年が上がれば上がるほど、勉強態度・姿勢にイライラするのではなく、子ども自身が「勉強に対する動機や意欲」を持ち続けているのか、悩んでいることはないのか、といったことを観察・確認しておくことをお勧めします。

小中学生のときの学力は子どもの将来に影響を与える?

 かつて「神童」と呼ばれるほど優秀だったにもかかわらず、その後成長するにつれて「普通」になってしまったという子どもの例は、皆さんの周辺でもチラホラと見聞きすることがあるかもしれません。「小学生のうちは勉強より遊びが大切!」という声もあれば「小学生だからこそきちんと勉強を!」という考えもあって当然で、「小学生・中学生のときの学力は、お子さまの将来に影響を与えると思いますか?」という問いには、正解がないだけに意見が割れそうに思えるのですが、結果は少々意外なものになっています。

    

 アンケートに回答した85%の母親が「小中学生時の学力は子どもの将来に影響を与える」と考えていました。その理由について「基礎が大事だから」という考えが最も多く、次いで「進路・就職にかかわるから」となっているようです。逆に「影響はない」と考える人の理由としては、「勉強以外にも大切なことはあるから」「自分自身の体験から」という声が挙がっています。
 これに、小中学生を対象とした別の調査結果を重ねると面白い事実が浮かび上がってきます。     

    

 小学生と中学生に同じ質問をすると、数値がほとんど変わらないものと中学生になると数値が大きく減少するものの2種類に大きく分かれるのです。「進学や就職のため」という理由の数値は変わりませんが、これが「勉強する動機」の最たるものだとすれば目的を達成した瞬間に学びの姿勢も終了となってしまうかもしれません。それに対して数値が大きく減少してしまう項目は、「学びの質」に価値を見いだせなくなっている子どもたちの現実が浮き彫りにされているのはもちろんのこと、社会人となった後でも「勉強」を「仕事」に置き換えて持ち続けてほしい資質だと私は思います。
 小中学生時に身につける学力、あるいは勉強に対する態度・姿勢といったものが将来に役立つとして、その将来が「進学や就職といった20代そこそこ」までを指すと考える子どもが多い状態を、私は健全だとは思いません。中学・高校と学年が上がるにつれて、勉強する理由が「テストの点数のため」「受験のため」「就職のため」と流れていく傾向があるからこそ、皆さまのお子さまには小学校時代の間に「勉強する目的・楽しさ」をしっかりと伝えてあげてほしいのです。その第一歩は「ちゃんと勉強しなさい!」と叱る前に、お子さまの勉強に対する意欲を観察し、高める工夫を意識することにあるのです。     


    

資料:オウチーノ総研「『子どもの学力』に関する実態調査」2015年
    ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査」2014年

vol.88 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2015年 8月号掲載

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