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Vol.9 「高校入試、身なりで不合格」の是非を考える

 

 10月の終わり、TV各局のワイドショーで「県立高校、試験点数は合格なのに身なりで不合格」という話題が取り上げられ、同アンケート調査では「不合格で当然だ」という意見が大半を占めていました。生徒本人とその保護者に問題があると考える人が多いということです。皆さんはどのようにお考えですか。今回は、この報道から見えた学校側の問題点を二つ取り上げたいと思います(生徒の側の問題点は言うまでもありませんね)。

出願時、入試当日の服装や髪形、態度などから不合格

 まず、今回の報道をまとめてみましょう。神奈川県のある県立高校で、過去数年にわたり入学試験の学力テストなどの点数では合格圏内だったにもかかわらず、願書受付時や入試当日の服装や髪形、態度などをチェックされ、「生徒指導が困難」として22人が不合格になっていたというのです。
 この学校は、数年前に近隣校との統合を発表後、志願者が増加。入学者に指導上の問題を抱える生徒も多くなり、教員の負担が大きかったことから、前任の校長が「新しい学校に生徒指導が難しい生徒を入学させたくない」と発案したということでした。


合否判定に使われたチェック項目
□ 茶髪に染めた跡がある
□ つめが長い
□ 軍手を着けたまま願書を渡した
□ 胸ボタンを外している
□ ズボンをひきずっている
□ スカートが短い
□ 眉を剃った跡がある
□ 化粧をしている
など

「裏の基準」の存在

 私が考える一つ目の問題点は、学校としてのルール破りの点です。近年では、学校といえども「情報公開」を求められるようになっています。その結果、小・中学校では学校公開日を設けて地域の方々に学校の様子を公開したり、私立高校はもちろん公立高校でも積極的に入試説明会を開催するようになっています。
 ところが今回の問題点は、この「情報公開」の流れと逆行した「閉ざされた裏の基準」が存在したことにあります。よく読んでいただきたいのですが、この高校の先生方が受験生をチェックしたのは「面接」のときではないのです。不合格になった生徒がもしも出願当日風邪でもひいていて、母親が代わりに学校に来ていれば、極端な話ですが合格になっていたかもしれません。
 神奈川県の県教委が公表している県立高校の選考基準では、調査書と面接、学力検査を点数化し、合算した上位から合格を決めることになっており、出願時の身なりや態度は基準に含まれていません。

  神奈川県の公立高校入試は、
前期選抜試験=内申点と面接や小論文で合否を判定。入学試験無し。
後期選抜試験=内申点と入試得点で定員の80%を客観的に決定。残りの20%の定員(後期選抜)は各高校の選考基準を加味して決定(選考基準は事前に公表)。
 の二つの方法で実施されます。
 ①の前期選抜では「調査書+面接」で合計点が合格者57人中16番だった生徒が不合格になっているそうです。ということは、「調査書」よりも「面接した試験官の目」よりも「裏の基準」の方が優先したということになります。②の後期選抜では「面接」そのものがありませんから、見た目で不合格にしてしまうことは大きな問題です。


大人のモラルとは?

 二つ目の問題点は(こちらが重要です)大人のモラルについてです。今回の「裏の基準」は、ひと昔前の「中学生らしさ」という基準で見ればNGのものばかりです。ところが、どうして高校側は「ダメなものはダメ」とハッキリ言うことが、できないのでしょうか。高校を訪れた子どもに対して、その場では「OK」とも「ダメ」とも言わないあいまいな接し方をしておきながら、陰でバッサリ切り捨てるやり方はフェアではないと思います。
 このご時勢ですから、これが電車の中などであれば「注意するより見てみないふり」がスタンダードなのは理解していますが、今回は学校の中、しかも受験生を迎える側の高校の先生方の話です。生徒を注意できないシステム上の制約があるのか、それとも「いい気になっているのも今のうちだけだぞ、しっかり落としてやるからな」という意識があったのか、当事者ではない私には把握できないのですが、何にせよ子どもの立場に立って考えると「注意しない=肯定」「注意する=否定」です。少なくともその場で「見てみないふり」をした先生方には、陰でコソコソ否定する(陰口含む)資格はないと思うのです。こうした大人たちの「二面性」は必ず子どもたちに伝わり、かえって子どもたちの不信感を増幅させることでしょう。


白黒ハッキリさせた言動を

 06年7月には、鹿児島県のバトミントン大会で「眉毛を剃っていた」ことを理由に、試合に勝った中学生を負けにしていたことがありました。県中体連は大会前に、髪を染めたり、眉を剃ったりするなど「周りに不快感を与える服装」をした場合は、出場を認めない場合もあると各校に知らせていたそうです。そして本当に実行したのです。県中体連の会長は「眉を剃った生徒には、守るべきものがあるということを確認してほしかった」と話したそうです。
 この会長の判断を、やりすぎだと思いますが、このくらい「ダメなものはダメ」と言い切る姿勢を見せることこそが、現代の大人に求められているのではないでしょうか。摩擦を恐れて白黒ハッキリさせず、あいまいに済ませておきながら陰でコソコソするのは「汚い大人」の典型でしょう。
 皆さんも子どもの頃はそう思いませんでしたか?

vol.9 ブンブンどりむ 保護者向け情報誌「ぱぁとなぁ」2008年 12月号掲載

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